譲渡額
~1億円
売上高
非公表

人材/SES業界の事例

双方の信頼関係の可視化でつなぐM&A成功の秘訣:熱意が生んだ小規模M&A成功例

エリア
関西
オーナー
40代
売却検討理由
事業の選択と集中
スキーム
事業譲渡

畦田 佑登

M&Aイノベーション株式会社

本案件では、コロナ禍による事業環境の変化が、売り手オーナー様の事業譲渡を決断を促す大きなきっかけとなりました。譲渡価格は小規模ながらも、双方の事業ニーズが一致し、買い手企業が求めていたシナジーを生み出せる形で成功に至っています。また、従業員の雇用確保や、事業責任者の熱意が買い手に安心感を与えたことがポイントでした。迅速なプロセスと双方のビジョンの共有が鍵となった事例です。

 

コロナ禍が決断を後押し!海外人材紹介事業のM&A成功の裏側


ー案件の概要について教えていただけますでしょうか。

  売り手様は、関西にある、従業員が200名規模の人材業界の会社様で、オーナー様は、40代でした。多角的に事業をされておりましたが、今回の譲渡事業は、東南アジアを中心に海外人材の紹介事業でした。事業の集中と選択を考え、事業譲渡を検討されておりました。 買い手様は、中部にある、従業員が20名ほどの人材業界の非上場会社のオーナー様で、人材派遣を行っておりました。譲渡価格は、1,500万円でした。

 ーオーナー様が抱えていた不安、課題、M&Aを検討された背景はどのようなものだったのでしょうか?


   M&Aをご検討された背景としては、事業の「集中と選択」の要素が大きかったです。売り手様は人材のSaaSモデルを展開し、サービスを提供しておりました。それに付随して人材紹介業も手掛けておりましたが、事業のさらなる成長を目指し、主力の事業に一層力を注ぎたいという考えに至りました。特に、新型コロナウイルスの影響が大きかったのが一因です。当時、海外から人材を送り込むことが非常に困難な状況となり、その結果、売上が大幅に減少しておりました。こうした状況を受け、人材事業からの撤退を決断することとなりました。

雇用を守るための工夫-譲渡先へのご要望とは?


ー売り手のオーナー様のご要望はどのようなものだったのでしょうか。

 
  実は、今回対象となった事業は2名の従業員様が関わる規模のものでした。事業責任者様はそのまま本社に残る予定で、1名の従業員様が異動する予定でした。売り手オーナー様には、その従業員様の雇用を何としても守りたいというご要望がございました。結果、2名とも移籍する形になりましたが、当初はその1名様の雇用を確保できればよいという強いご意向をお持ちでした。 

 価値算定で説得力を!売却プロセスの進め方


ー売り手様とどのようにM&Aを進められたのか教えていただけますか?

 
  まず、売り手様は初めての事業譲渡ということで、プロセスを丁寧にご説明する部分から始めました。そして、事業の価値に関しては、当時コロナ禍でほとんど売り上げが立たない状況でした。本来であれば売り値がつきにくい状態だったのですが、コロナ前の時期は事業が非常にうまくいっていたという点を考慮しました。そうした過去の実績と現状を総合的に踏まえて価値算定を行い、売り手様にもキャッシュが残るような形でご提案をさせていただきました。

人材不足を解消する買い手企業が見出したシナジーとは?


ー買い手様は売り手様のどのような事業に魅力を感じ、今回マッチングに至ったのでしょうか。

 
  買い手様としては、同じ人材業界の会社様でしたが、海外人材の紹介事業は未経験でした。一方で、製造業向けの人材派遣を主に行っていたため、既にその分野に関しての強みをお持ちでした。さらに、人材派遣だけではなく、技術やスキルを持つ人材を紹介してほしいというニーズが以前からありました。また、買い手のクライアント様には地方の企業様が多く、特に担い手不足に悩む声を頻繁にお伺いしており、海外からの優秀な人材、日本語が話せてスキルがある人であれば問題ないという考えをお持ちでした。結果的に、今回の事業を取得することでシナジーが生まれると判断され、ご興味を持たれたという流れでした。

ー印象に残っているエピソード・成功の要因について教えていただけますか?

 
  今回の事業譲渡は、難易度がそれほど高いものではありませんでした。ただ、最初は従業員様お一人だけが関わる形でのビジネス譲渡の予定でした。しかし、譲渡に関する具体的なご相談が進む中で、事業責任者様も大きく関与することになりました。事業責任者様は、このビジネスに対する非常に強い想いをお持ちで、売り手である社長様に「自分はこの事業をまだまだ成長させたい」という強い意志を示され、事業責任者様は自ら希望して会社を移籍されました。この出来事が非常に印象深かったです。事業責任者様の熱意が買い手様にも伝わり、その結果、買い手様も事業が円滑に継続できることに安心感をお持ちでした。こうした背景があったからこそ、譲渡プロセスがスムーズに進み、早期に合意に至ることができたと思います。ーこの案件が成功した要因が他にもございましたら教えていただけますでしょうか。畦田: 売り手様と買い手様の関係性は非常に重要だと考えております。今回のケースでは、売り手様は関西にオフィスを構えており、事業も関西で展開されておりました。一方で、買い手様は中部地方に拠点を持っており、エリア的に離れている状況でした。そのため、買い手様が事業譲渡後に関西へ移るのかという点が課題でした。しかし、従業員様のご自宅や生活環境を考えると、全員が中部地方に移ることは現実的ではありませんでした。そこで、譲渡後の運営方法について話し合いを重ねた結果、売り手の会社様内で一部スペースを間借りする形を取りました。この契約により、従業員様がこれまで通り働くことが可能になり、さらに、売り手様と買い手様の間で事業連携がスムーズに行える体制を構築することができ双方にとって良い形で事業運営を継続できたと考えております。
 

 迅速な撤退と満足の結果!売り手オーナー様の成功ポイント


ー売り手のオーナー様が最も満足されたのはどのような点だったのでしょうか。

 M&Aの成約までのスピード感です。 売り手様ご自身は事業撤退早期にされたかったこともあり、半年以内に成約できたことで満足いただける結果に繋がったとと思っております。
 
 

ーオーナー様とのアフターストーリーがございましたら、教えてください。

 
 
 買い手様にとっては、シナジーを活かしたビジネス展開ができたことが大きかったです。その事業の売上が伸びただけでなく、既存のクライアント様にも新たな提案ができるようになり、クロスセルの機会が増えたことに非常に満足されておりました。さらに、その事業を拡大させるために買い手様の社長の息子様が入社され、新規ビジネスを一緒に推進するという新たな挑戦も始まりました。結果的にこの案件は買い手様にとっても次世代へのチャレンジや事業の多角化に繋がり、成功した部分だと感じております。 

ーM&Aをご検討されている方々へメッセージをお願いします。


 売れるかどうかわからないと感じる事業でも、買い手様にとってシナジーを見込むことができれば十分に価値があります。まずはお気軽にご相談いただければ、M&Aのチャンスはございます。
 弊社が得意とするのは、譲渡対価1億円以下のいわゆる小規模M&Aです。多くの仲介会社様が積極的に取り組まれない領域をサポートしております。もし、自分自身の会社が売れるのか不安であったり、早く売りたいけれど、どこが対応してくれるのか分からないという方がいれば、ぜひ弊社にご相談いただければと思います。