「想いをつなぐM&A―ダクト製造会社の未来を託した譲渡物語」
ー案件の概要について教えていただけますでしょうか。
ダクト製造・設置会社様の譲渡案件です。その会社様は、業績不振が続き、借り入れの問題を抱えておりました。売り手オーナー様の「どうしても会社を引き継ぎたい」という想いに応えて、支援を開始しました。買い手様は、保温材を取り扱っている会社様でした。ダクト関連と保温材は関連性が高いため、非常に相性が良く、双方にとって理想的なマッチングができました。しかし、売り手企業様の借り入れが多く、銀行の同意が必要でしたし、最終的には弁護士や裁判所も関与する「再生案件」として譲渡という形になりました。このようなケースは私自身も初めてだったため、非常に学びの多い経験でした。また、ドラマチックな展開もあり、とても印象深い案件となりました。
―売り手のオーナー様が高齢だったことによる後継者不足が問題点だったのでしょうか?
はい。売り手のオーナー様は80歳手前のご高齢でした。 息子様が一度は仕事を引き継がれ、お仕事を手伝われていたのですが、方向性の違いから辞められておりました。その後、オーナー様が亡くなったタイミングで戻って来られました。その際に会社を継ぐことはできないのですが、新しい買い手様と一緒に仕事を続けることとなりました。多くのイレギュラーなことがある中で最終的にはとてもいい形でまとまりよかったです。
人の想いが道を開く―事業承継への想いと責任感
ーこの案件が成約した要因は、どのような点になるのでしょうか。
一つは、私自身も売り手のオーナー様の「何としても会社を継続させたい」という強い想いを感じたように、買い手の企業様も強い責任感で引き継ぎたいと思ってくださったことが1番大きかったと思います。事業そのものを望む以上に「人の想いを継ぐ」ということが、成功の最大のポイントだと感じております。
自由な経営からの立て直し―M&Aがもたらした新たな未来
ーオーナー様とのアフターストーリーがございましたら、教えてください。
この案件については、引き継ぎ後も少し課題がありました。従業員の方々が個性的で、企業文化の違いもあり、買い手企業様が2つの会社様を1つにまとめ、運営体制を整える点で苦労されておりました。特に、前オーナー様が高齢だった事もあり、以前は「自由な経営」をされていた面もありました。それが赤字の一因にもなっており、その立て直しの点でも、苦労されていたようでした。
何より大切なのは「一歩踏み出すこと」
ーM&Aをご検討されている方々へアドバイスをお願いします。
成功するかどうかっていうのは、やってみないとわからない部分は大いにあるとは思うんですけど、チャレンジしないことにはやっぱり進まないし、道は開けないと思うので、 そういったところで言うと色々悩まれることはあると思いますけど、まずはもう一歩進んでいろんな方法を考えていくと いうことをおすすめしたいなと。