木材乾燥機が主力のA社と丸太の皮むき機に強いB社という地元企業同士の経営統合案件です。本社が隣町にある競合企業であり、両社とも木材加工の機械メーカーです。
経営環境としては、現況両社は勝ち組企業として体力はあるものの長期的には国内は人口減で市場が縮小し需要が減少していく中、将来的に危機感を感じたA社社長様がホームページを介して弊社に相談に来られました。
これまでのライバル関係に固執するのではなく、地元の企業としてB社と一緒になることで、お互いの強み・弱みを補完することでシナジーが生まれるのではないかと考えていらっしゃいました。そこで、B社にお声かけをしてM&Aと言う概念は一旦横におき、まずは一緒に事業をやることについて議論をしました。その結果デメリットもあるが、それ以上に両社にとってメリットがあるということで話を進めていくことになりました。その次に様々なスキームを検証しながら、最終的には会社分割というスキームを選択しました。※ここでのポイントは検討する順番を間違えないことです。
当初、お客様にとってM&Aはじめてのことであり当然何もわかりせん。そこでM&Aやスキームそのものよりは、先ずは「商売として一緒にやっていくメリットがあるかどうか」を最初に検証する必要がることを提案しました。そこで、私たちは両社の経営者様に地元から東京までお越しいただき、勉強会を開催しました。M&Aそのものの話というより、実際に経営統合のメリット・デメリット、互いの強み・弱みを分析し経営統合した後にどのようなことが起き、どういった対策が必要になるのかという点に焦点を当てて両社で検証を致しました。
お互いに経営統合するメリットがあることが検証でき、次にM&Aに関する基本的なスキームについて理解を深めていただきました。 最終的には「吸収分割(会社分割手法の1つ)」というスキームが一番適しているという結論に至りました。シナジーの検証、スキーム検討の過程では、両社交えて何度も打ち合わせを重ね、先程のお話のとおり約2時間の勉強会を計6回実施しました。スキームを決定してからは、両社の社員も参画しプロジェクトチームを発足し手続きを開始しました。最初にご相談をいただいてから最終的なプロセスが完了する迄、約2年間の歳月がかかりました。
多くの会社様がM&Aを検討する際「買うとか、売るとか」という議論からから始めるのに対し、このケースでは「どうすればこの会社が存続し発展できのるか、そして成長できるのか」という本質的な部分から考え、最終的にM&Aがその解決策となった案件です。
自分自身が20年以上M&Aのサポートを行ってきた中で、1番思い入れのあるディールです。
競争から共創の時代へ お互いがお互いの手を取り合って作る戦略的経営統合
対等合併という言い方がありますが本当の意味での対等というのは非常に難しい問題です。同じものは2つとないので両社のプライドと尊厳を守りながら、どのように進めていくかという点が重要な課題でした。合併する場合、全ての事業を統合するのが正しいのか、事業内容に違いがある場合はどうするべきかという問題もありました。今回のケースでは、B社が別の事業も行っていた点がポイントでした。 もしA社とB社がそのまま合併してしまうと、不要な事業も一緒に引き継いでしまう可能性があったため、会社分割という手法を選択しました。
そのため、B社が2つの会社に分かれてA社が存続会社となり新社名にて再スタートを切りました。
合併等の場合、互いの株価評価が同じであることはまずありません。そのためお互いに納得する合併比率や株式保有比率を算定することは、かなり難しいといえるでしょう。これに関しては慎重に検討する必要があります。また方法は企業ごとに異なるため、どの方法を採用するか、またその評価をどのように反映させるかが、合併や会社分割において重要なポイントとなります。具体的な方法については、企業秘密です。本件では詳細に詰めていき、お互いが納得できるように進めていったディ―ルでした。
期待以上のものを得ることができました。 工場を1つにまとめたことで設備投資などコスト削減に繋がりました。
会社統合においては、余剰のリソースや重複する業務、さらには職場環境の変化などによって、辞める社員が出ることは避けられません。 職人の方の中には文化的な違いや社風の変化に抵抗感を抱くことが多いです。そのため、社員の性格まで分析しておりました。辞める方が一定いることも想定し、その範囲内で進められるように調整することも経営統合を成功させるためには避けては通れない部分でした。
規模の拡大によって金融機関からの与信評価も変わってきます。シェアをとることにより業界でのインパクトもありました。また、経営統合より海外戦略及び国際的なネットワークも強化されました。
中小企業同士が力を合わせて規模を拡大し、競争力を強化することは生き残り戦略として非常に重要です。日本では、競合企業が一緒になることに対して抵抗感がある企業が未だに多くあると思います。ですが、世界ではライバル企業同士が国境を超えて協力し、グローバルな視点で事業を展開する流れになってきています。会社の成長と社員のために戦略的に統合していくことは、今や経営者として必要不可欠な経営判断の一つであると考えております。先見的な目を持っている経営者様同士だったからこそ、今回のような経営統合の話ができたと考えております。
基本的にM&Aは「稼ぐ力を向上させる」有効的、かつ友好的な経営戦略でなければならないと考えています。そして、それを実現するためには経営者様の人間力は成功における重要な要素だと考えております。 金銭的な利益だけを追求し、社員や周りのことを考えないM&Aは結果的に失敗に繋がる可能性が高いと思います。
企業がこれから先、稼ぐ力を向上させるためにM&Aを考えなければ生き残っていけない時代がきています。M&Aは前向きな成長戦略の1つ、経営戦略のツールの1つです。あとDX・AIの活用、この3つは絶対だと思います。
M&Aは、経営者様にとって強力な成長戦略となる手法のひとつだと思います。 特に、経営資源を効率的に活用し、規模のメリットを追求できる非常に有効な手段です。財務体質や人材が強化されることで今までやりたくでもできなかったDXやAIを取り入れ、それにより5人かかっていた業務を4人でこなせるようになり、時間を短縮し、より少ない人数で高い利益率を達成することが可能になります。稼ぐ力が向上します。経営者様がもしこのような効率化の重要性を考えないまま何も対策を打たないでいると10年後は稼ぐ力が無くなり競争に取り残されてしまう危険性があると感じております。
株式会社M&A Biz
合同会社Rimpact
株式会社M&A Biz
株式会社YKフューチャーコンサルティング
隣接している地域での競合他社との経営統合(前向きな戦略、事業拡大へ向けて)の事例になります。20年以上M&Aのサポートを行ってきた中で、1番思い入れのあるディールです。