譲渡額
非公表
売上高
非公表

製造業界の事例

伝統工芸品とIT企業がタッグ!後継者問題から始まったM&A

エリア
北海道・東北
オーナー
70代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
事業譲渡

中西 将太

合同会社Rimpact

後継者不足に悩む伝統工芸品店は、M&Aを活用して伝統の技術と革新的な経営手法を融合させました。これにより、海外市場への販路拡大や次世代への継承を実現し、存続の可能性を広げています。

伝統×テックM&A

伝統工芸品とIT企業がタッグ!後継者問題から始まったM&A

ー ディールの概要を教えてください。

売り手様は、伝統工芸品の製造を手がける会社です。売り手オーナー様は20歳前後の頃に先代から会社を受け継ぎ、40~50年にわたって事業を続けてこられました。買い手様はECサイトの運用などを行っているIT業界の企業様です。


売り手様がM&Aを検討された背景を教えてください。

売り手オーナー様がご高齢になり、後継者不足により事業や技術の承継が難しくなったため、ご相談をいただきました。



若手後継者の育成と市場拡大で伝統技術を次世代に承継


この案件で最も印象に残っているポイントを教えてください。

売り手様が後継者の不在に悩んでいたなかで、担い手を見つけるのが大変でした。しかし、もともと「手に職をつけたい」と考えていた方を、なんとか探し出すことができ、その方をアサインして約1年間先代と一緒に働きながら伝統工芸技術の承継を進めていったことが印象に残っています。


M&Aに際して、オーナー様はどのような不安や課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。

伝統ある技術が自分の代で途絶えてしまうのではないかということを、非常に不安視されていらっしゃいました。また、日本の伝統工芸品は非常に高度な技術を要するため、技術が上手く承継されるのかも懸念されていました。今回の後継者候補の方は、積極的に工芸品の製作をしながら、廉価品として海外に安価で販売し、技術を磨いていらっしゃいました。

買い手様や後継者の方は、どのようなルートで探されたのですか。


買い手企業様に関しては、弊社のコネクションから探索を行いご紹介しました。後継者候補の方は、システムエンジニアのお仕事をされている方です。AIの普及などもあり将来的に仕事が淘汰されてしまうのではないかと不安を抱え、伝統工芸職人のように手に職をつけたいと考えていらっしゃったため、ご紹介いたしました。


この案件が成功した最大の要因は、どこにあったと思われますか。


後継者の人柄と熱意が、成功の最大の要因になったと思います。


伝統技術を引き継ぐことにより、「代々受け継がれてきた伝統工芸品を終わらせたくない」「日本のものづくりを海外に発信していくことで会社を発展させたい」という熱い思いが伝わり、売り手オーナー様は譲渡をご決断されたのだと思います。

この案件で苦労された点を教えてください。


M&Aを行い事業を円滑に進めていくためには、企業風土を理解する必要があります。また、単にものづくりの技術を受け継ぐだけではなく、経営に対する知見を深め、経験を積むことも必要です。こうした部分の蓄積が大変で、PMIが非常に重要な案件となりました。

PMIは、どのように進めていかれたのですか。


後継者の方は修行の一環として廉価品を作りながら、積極的に海外への販売を進めていらっしゃいます。海外の方は廉価品を購入することで「より良いものを手に入れたい」という思考になる傾向にあり、結果として本家の伝統工芸品の売り上げもどんどん増加しております。

M&A後の企業成長とオーナーの満足感


M&Aにおいて、オーナー様が最も満足されたポイントを教えてください。


売り手オーナー様が最も満足したポイントは、後継者の人柄や熱意など、人間性の部分に満足いただいているように感じます。


今回の売り手様と同じ製造業界でM&Aをご検討されている方へ、メッセージをお願いします。




今回の案件はECサイトを運営する企業への売却という形になりましたが、サーチファンドという仕組みもあります。サーチファンドは、会社は残して後継者の方をアサインし、投資会社やファンドなどの資金援助を受けながら事業を発展させていく方法です。自分の会社は子供のようなもので、売却は考えられていない方もいらっしゃると思います。会社を残しながら、伝統工芸品という技術を残すスキームもあるので、そのような選択肢もご検討いただければと思います。