譲渡額
非公表
売上高
非公表

製造業界の事例

菓子製造業の同業間でのM&A

エリア
中部
オーナー
非公表
売却検討理由
事業の成長発展
スキーム
株式譲渡

伊藤 恵司

株式会社コスモスコンサルティング

M&Aによる可能性の拡大 ー売り手が買い手企業で役割を果たす新たな可能性

ー案件の概要について教えていただけますでしょうか。

 老舗の食品製造業、具体的には菓子製造業の企業様からM&Aのご相談を受けた案件です。最初にロングリストを作成し、次にショートリストを作成する形で進めました。最終的には土産物用のお菓子を製造している企業様とのマッチングが上手くいき、ご成約した案件です。


ー売り手のオーナー様がM&Aを検討された背景を教えていただけますでしょうか。

 売り手様はご兄弟で経営されており、長男様と次男様が経営を担当されておりました。先代から事業を引き継がれており、妹様も株主として入られておりました。ただ、ご長男様は別の事業に挑戦したいというご意向をお持ちでした。 当初、長男様は資本力のある企業様のもとで働きたいと考えており、そのため、ご兄弟でM&Aに取り組まれることを決め、弊社にご相談いただきました。

M&A実行にあたっての2つの課題

ーM&Aに対する不安や課題をオーナー様は抱えていたと思いますが、オーナー様が抱えていた不安、課題はどのようなものだったのでしょうか?

 主に二つありました。まず一つ目は金額面での問題です。もう一つは、株式の問題でした。元々、オーナー様が先代から事業を引き継ぎ、立て直しをされていたのですが、立て直しの過程で資金を提供してくれた方に株式を一時的にお渡しされていました。しかし、その後処理が不十分な状況でした。この問題は弊社の調査により分かったもので、オーナー様ご自身はあまり気にされていない状況でした。

ーその問題をどのように解決したのか教えていただけますでしょうか?

 実質的には問題解決されていたのですが、書面での証拠が十分に整っておらず、一時的にお渡しして株を買い戻したことに関するエビデンスが不足している状況でした。問題の当事者となる方が非常に厳しい方だったのですが、最終的には、100%ではありませんでしたが無事にエビデンスを取得することができ、弁護士にも相談の上、買い手様にもご了承いただくことができました。


値段交渉と未来の描写が鍵-M&Aが紡ぐ新しい関係

ー印象に残っているエピソードや困難だったポイントについて教えていただけますか?

 値段の交渉は非常に重要なポイントでした。その部分については、売り手様に対して買い手様の意向をしっかりと説明しました。ご兄弟が継続して経営に参画されること、買い手様のグループの中で、それぞれが新たな役割を担われることをお伝えし、売り手様に新たな可能性のつまった未来が見えるようにご説明をさせていただきました。さらに、買い手様の工場を見学していただいた際に、売り手様が非常に感動してくださいました。成約後に伺ったことなのですが、 買い手様が運営される工場を見て、「ここで自分の経営手腕を発揮したい」と決意されたことが、最終的な決め手となりました。

ーこの案件が成功した最大の要因は、どのような点になるのでしょうか。

 売り手様と買い手様を十分に話し合い、その中で買い手様の経営資源を見てもらうことをご提案したことで、売り手様が買い手様をより深く理解してくださったことが良かったと考えております。

M&Aと新しいキャリアの可能性

ーオーナー様とのアフターストーリーがございましたら、教えてください。

 弟様は引き続き対象会社の代表として尽力され、お兄様は買い手様の企業の中で、製品開発やマーケティングなどの分野でご活躍いただきました。その後、別の人生を歩まれたとお聞きしております。


ーM&Aをご検討されている方々へアドバイスをお願いします。

 弊社がご紹介する企業様は、素晴らしい経営者様の元で経営されており、社歴や豊富な経営資源を持つ企業様が多数ございます。このような企業様でご活躍いただけることは、非常にご検討いただく価値があると考えております。
 またM&Aの際、売り手様のご希望に沿った形で買い手企業様で新たな役割を見つけて活躍できる可能性もございます。買い手様によっては、売り手オーナー様が会社に残る形での引き継ぎは、元の経営者様の影響が強く残るため、避けたいと考える方もいらっしゃいます。しかし、買い手企業様内で新しい役割を見つけて活躍することができる可能性もあると思います。ぜひ、事前にご相談いただければと思います。