売り手様の業界は不動産業界です。お一人で社長をされており、年商約1億円の会社様です。買い手様は旅行業界で売上規模が約10億円の会社様です。
売り手のオーナー様がM&Aを検討された主な理由は、資金の確保でした。具体的には、不動産業界における更なる成長のために資金を不動産事業に投入し、さらに力をいれたいというご意向でした。
M&Aを進めるにあたり、売り手様は不安要素を2点お持ちでした。1つ目は、民泊事業における事業価値、つまり適切なバリエーションを算定できるのかという点です。2つ目は、その算定された価値に基づき、買い手様が見つかるのかという点でした。
1つ目の価値のバリエーション算定に関しては、不動産の過去の事例や立地条件、施設の規模など、さまざまな要素を当社の経験をもとに総合的に勘案し、適切なバリエーションを算定することができました。この算定結果を売り手のオーナー様にご提示し、ご納得いただいた上で具体的な買い手様の探索を開始いたしました。2つ目に買い手様が見つかるかどうかという懸念をお持ちでしたが、当社には多くの買い手様とのネットワークがございます。社内で保有している顧客リストをもとに営業活動を行い、適切な買い手様を3名選定することができました。
おっしゃる通りです。同時並行で営業活動を行うこともございますが、基本的には当社が既に多くの買い手様を抱えている状況です。
印象に残っているのは、融資が承認されるかどうかという点でした。民泊のM&Aにおいては、一般的に融資が承認されにくい業界とされております。しかしながら、一部の条件を満たすことで融資が可能となるケースもございます。今回のケースでは、買い手様3社のうち1社がその条件に当てはまる可能性がございました。そこで私がサポートさせていただき、金融機関との面談や資料作成など、必要なプロセスに尽力いたしました。その結果、無事に融資を通すことができた点が特に印象に残っております。
まず1つ目は、売り手様は営業利益がしっかりと出ていた点です。買い手様は基本的に営業利益を基準に判断されることが多いため、この点は非常に重要な要素でした。2つ目のに、オペレーションが高いレベルで自動化されていた点が挙げられます。例えば、清掃会社様との連携をOTA上で完結させたり、メッセージの返信業務を専門業者に外注していたことが大きなポイントです。外注すべき業務は適切に外注し、内製化するべき部分についても手間を最小限に抑える工夫がされておりました。このような効率的な運営体制が、案件成功の大きな要因であったと考えております。
適切に事業を評価することができたことが最も満足された点だと考えております。民泊のM&Aは、案件数も限られているため、年間の実績がほとんどないというケースも珍しくありません。今回の案件についても運営期間は半年程度と短期間でしたが、これまでの運営実績や今後の市場の将来性、そして単価などの細かな要素を総合的に考慮し、民泊業界特有の要因を反映させた独自の算定方法を用いることで、適切な金額で売却することができた点がオーナー様にとって大きな満足につながったのではないかと感じております。
現状、譲渡対象だった事業に関しては、非常に良い形で運営が継続されております。引き継ぎ体制も整っており、現在のところ問題なく進んでおります。民泊において特有の課題や運営上の困難がいくつか生じることもございますが、その都度、売り手様が丁寧にケアをしてくださっております。もちろん、私自身も積極的にサポートを行っており、売り手様、買い手様、そして私の三者で協力し合い、譲渡対象の事業をさらに大きく、より良いものにしていこうという前向きな姿勢が共有されております。このような体制と風潮が整っている点については、非常に良い状況であると感じております。
民泊事業は、非常に小規模なビジネスであるため、「本当に売却できるのだろうか」という点が最も懸念される部分かと思います。しかしながら、実際には多くの方が民泊事業を売却されており、成功されているケースが多くございます。そのため、まずは一人で悩むのではなく、経験豊富なアドバイザーや、民泊売却の実績がある方にぜひご相談されることをお勧めいたします。
株式会社TabijiPartners
株式会社アルファコンサルティング
ヘリテージパートナーズ株式会社
株式会社TabijiPartners
本記事では、民泊事業のM&Aを通じた事業成長の可能性について解説しています。売り手オーナー様が抱えていた「資金確保」と「事業評価の適正性」という課題を、的確なバリエーション算定と既存のネットワークを駆使して解決しました。また、民泊業界特有のハードルである融資承認を克服するためのサポートや、効率化された運営体制の重要性についても触れています。買い手企業様と売り手企業様、そしてアドバイザーの連携による成功事例として、多くの事業者に参考となれば幸いでございます。