関東にて、福祉事業を展開されておられた代表者様(50代)が、当時手掛けておられた
(1)就労継続支援事業
(2)グループホーム運営事業
(3)放課後等デイサービス事業
の内、『事業の選択と集中』の観点から、上記(3)の事業を売却したいと、当社に御相談いただいたことが、本件のきっかけでございます。
一方で、同じ関東にて、福祉事業(児童発達支援事業)を手掛けておられた代表者様が
『児童福祉事業の拡大』との観点から、御関心を示していただき、当初は【事業譲渡】にて、検討を開始いたしましたが、その後、売却事業者様側の金融機関様からの御意向である『円滑な借入金名義変更』を受け、急遽【新設分割+株式譲渡】にスキーム変更の上、1年超のスケジュールにて、クロージングに至ったものでございます。
今回の案件では、売り手企業の「本業集中」と買い手企業の「エリア拡大」という双方の目的が、M&Aを通じて高いシナジーを生み出した点が印象的です。特に、売り手企業が特定のエリアで築いた強みと、買い手様が広域展開を進める中でそのエリアを補完したいというニーズが、ピンポイントで一致したことが成功の鍵となりました。
また、売り手企業がM&Aに対する不安を抱えられていた中で、アドバイザーとして最初から「M&Aありき」ではなく、事業成長の選択肢を比較しながら進めました。このプロセスによって、売り手企業が納得感を持って意思決定できたことが、スムーズなM&Aの実現につながったと考えます。
加えて、買い手候補の探索において、エリア特性と買い手のニーズを的確に見極めた点も本案件の成功要因の一つです。運送業界では、単に売上規模の大きな企業が良い買い手とは限らず、エリア戦略や事業の方向性が合致することが重要です。今回のように「偶然」の出会いが生まれた背景には、適切な買い手候補のターゲティングと、戦略的なマッチングの努力があったからこそ実現できたのではないでしょうか。
譲渡後も、売り手企業が残した事業に集中でき、買い手様も新たな市場で事業を強化できた点は、まさにM&Aの理想的な形です。運送業に限らず、事業の選択と集中を考えられている経営者にとって、本件より参考になる点があれば幸いです。