売り手様は医療業界で、全体の売上規模は約5億円でした。 買い手様の方は介護業界で、全体の売上は約300億円です
課題は主に2つあります。1つ目は、医療法人の営業力が少し弱いために、特に医療法人の本部機能と離れた場所で運営している介護事業所は、厳しい経営状況となっていました。
2つ目は、人件費の問題です。医療法人の人件費水準は、民間の介護事業者に比べてどうしても 高くなる傾向にあります。この2点が経営を圧迫し、事業全体で赤字を強いられていることが課題でした。
買い手企業様は、弊社と長年お付き合いをいただいている有力な介護事業者さんで、買収経験やPMIにも非常に豊富な経験をお持ちでした。この事業者さんに引き取っていただければ、ご入居者さんや従業員さんに対してスムーズな事業承継ができるという確信があり、 売り手様に推薦をさせていただきました。
また、売り手様へは、法人全体の課題も抱えていらっしゃった中で、「まずは1番赤字幅の大きい介護事業を切り出すことから始めましょう」とご提案をして、ご理解とご納得をいただきました。
実は後から分かったことですが、売り手様は同時並行で他社様とも事業譲渡の話を進められていました。売り手様は金融機関等からもご支援を受けられていたのですが、金融機関に出入りする我々の同業者に少し大げさな話を聞かされたようです。その同業者がネームバリューのある会社だったこともあり、一旦そちらに心が傾いて、「向こうの会社と話を進めたいと思う」と連絡をいただきました。弊社がご紹介した買い手様からも意向表明をいただいていたため、すぐに協議をすることしました。
医療法人が売却を予定していた2つの事業所は、偶然にも買い手様の事業所がないエリアに位置していました。
どちらも年間で1000万以上の赤字を出している事業所で、通常、赤字事業の譲渡ではのれん代としての対価がほとんどつかず、資産簿価での譲渡であれば好条件とされるのが一般的です。しかし、買い手様が「どうしても買収したい」と強い意志を示し、数千万円以上の対価を提示していただき、巻き返しを図ることができました。
さらに、色々話を聞いてみると、もう一社はマッチングを注視するばかりで、医療法人さんが抱えていた全体課題への理解が欠けていたそうです。
ただ、その同業者は取引銀行が絡む行政機関から紹介された会社ということもあり、売り手様としてもそちらの話を優先せざるを得なかったとおっしゃっていました。最終的に、売主様から「もう一社を選択せずに本当に良かった」とおっしゃっていただき、売り手様が納得する形での事業譲渡に貢献できたことは非常に印象に残っています。
買い手様から非常に良い条件を再提示した際、売り手様は少し半信半疑のところがありました。そのため、すぐにトップ面談を実施した結果、ご納得いただいくことができました。迅速に判断いただきスムーズに実行できたことが、成功の大きな要因だったと思います。
売り手様も、本M&Aにおいて、事業に非常に良い対価をつけていただいた点と、給与水準は若干下がったものの、ほぼ全従業員さんを引き継いでいただいた点に満足されていました。
買い手様はM&Aにも、 M&Aが成就した後のPMIにも長けており、 PMIに関してはほとんど買い手様で進めていただいたため、私が関わる機会はありませんでした。売り手様は倒産の可能性もある状況だったのですが、非常にいい条件で別の医療法人さんの傘下に入ることも決まり、新たな資本のもとで再スタートできることになりました。本案件の事業譲渡だけではなく、その後の法人自体の譲渡まで関わらせていただけたのは良かったなと思います。
マッチングすることだけを優先に考えるアドバイザーも多いので、しっかりと見極めて選ぶことが重要だと思います。我々の仕事は、売り手様、買い手様双方に満足いただき、その対価をいただくことで成り立っております。1番に優先されるのはご両者の満足感だと思います。そこにフォーカスした視点を持っているアドバイザーを選ばれることが、売り手様にも買い手様にも良い選択につながると思います。
株式会社アライアンス
株式会社アライアンス
医療法人である売手様は運営する病院と少し離れた距離にある介護施設について、介護報酬改定や人件費上昇による収益性の低下と、管理人材の不足からマネジメントに課題を抱えてきていました。
買手介護事業者様はM&Aを多数手がけPMIの経験値も豊富で運営する施設について非常に優れた管理体制を構築されていました。
弊社を含め複数のアドバイザーから買手様の紹介を受けておりましたがご検討を重ねていただきました結果、弊社の紹介した買手様をご選択いただきました。