売り手様は、主に研究所や実験室などで使用する理化学機器の卸売りの会社です。創業以来ご夫婦で運営されており、売上が約1億円の小規模な会社でした。買い手様は近隣にある同業の取引先でした。買い手様の企業規模は大きく、売上高は数十億円前半でした。
売り手様の会社は、ご夫婦と社員1名の3名で運営されていました。ご夫婦ともご高齢でお子様がいらっしゃらず、事業承継をどうするかという課題を抱えておられました。実は、売り手様は当社にご相談いただく前に、他の取引先に直接「後継者がいないので引き継いでくれませんか」といった打診をされておりました。その取引先からは前向きに検討するという回答をいただいていたものの、相手が大手企業であり対応していた方が営業所長クラスであったため、本社との調整を要し現場だけでは話が進まず、交渉を始めてから約2年ほど経っても進展しない状況が続いておりました。そのため、神奈川県事業承継・引継ぎ支援センターにご相談があり、私もご相談に同席したという状況でした。
売り手様の会社の売上は約1億円ほどで、黒字経営をされており利益も出ている状態でした。財務内容も良好だったため、数字面では十分M&Aの可能性があるのではないかと考えておりました。しかし、理化学機器というのは非常にニッチな分野ですので、買い手となる会社を見つけるのは難しいと感じておりました。そこで、1つのアプローチとして、売り手様に引き継いでくれそうな取引先と近隣で引き継いでくれそうな会社をお伺いし、買い手候補のリストアップを行いました。
結果的に、2つの条件が重複し最も可能性が高いと思われた近隣で同業の会社に最初に打診し、即答で交渉がスタートしました。お互いによく知っている会社同士で信頼関係も築かれており、スムーズに短期間で話が進みました。
売り手様からは、「こんなにスムーズにM&Aが進むのであれば、もっと早く相談していたらよかった」とのお言葉をいただきました。ご自身で2年間、直接交渉していた際は進展しなかったのに、専門家に相談したことでスムーズにM&Aが決まり本当に良かったと言っていただけました。
2点ございます。まず、1点目に売り手のご夫婦は同業の会社に事業を引き継がれたので、引き継ぎ期間が短期間で完了しました。そして引き継ぎ自体がスムーズに進んだこともあり、引き継ぎ完了後は都市部を離れた場所に引っ越しをされて、ゆっくり過ごされていると伺っております。
2点目は、買い手様の会社に引き継がれた従業員の方についてです。 買い手様の会社は売り手企業に比べて処遇面が良かったので、従業員の方の処遇面についても自身の会社に合わせてあげたいと買い手様よりご提案がありました。結果、従業員の方にとってもM&Aをされてよかったのではないかと感じております。
今すぐではなくても将来的に事業承継の必要があるなと考えているオーナー社長様については、まずは早めに専門家にご相談された方が良いと思います。専門家を使わずにご自身で直接交渉をされてM&Aを進められるケースもあるとは思います。過去にM&Aのご経験があり慣れている方にとっては良いかもしれませんが、今回のようにご高齢の売り手様の場合、M&Aに関する知識や経験がないことが多いと思います。買い手が大きな会社である場合、売り手様が立場的に不利になってしまう可能性もあります。無料でご相談できるところも多くありますので、早めにM&Aの専門家にご相談することをおすすめいたします。
株式会社サンアドバイザリー
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売手様は取引先に直接、事業承継を打診し当事者間での交渉を進めていましたが、約2年間進捗がない状況でした。
その状況について神奈川県事業承継・引継ぎ支援センターに相談をしたところ、当社に声が掛かり対応を進めることになりました。
まずは直接交渉先との状況を整理し結論を出した後、新たな承継候補先としてお互いを良く知る近隣の同業者へ打診したところ、すぐに初期的な合意に至りました。その後は長年の信頼関係をもとに、率直な意見交換や情報開示が順調に進み、約4か月間でクロージングに至りました。