譲渡額
~1億円
売上高
非公表

EC業界の事例

ニッチな市場で輝くM&A:ミリタリーグッズEC事業の挑戦と成功

エリア
中部
オーナー
60代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
株式譲渡

仲川 康彦

株式会社サスガキャピタルパートナー

本案件は、ニッチなミリタリーグッズ市場に特化したEC事業が、理想的な買い手企業とのマッチングによって新たな成長を実現した事例です。譲渡後、買い手企業の情熱とサポートにより、オンライン販売だけでなく実店舗展開という夢を形にすることができました。特殊な商材と独自の販路を最大限に活かし、双方にとって大きな可能性を広げた成功事例です。

ミリタリーグッズEC事業のM&A:選択と集中の決断

-ディールの概要を教えてください。

売り手様は、北陸でミリタリーグッズ等の販売に特化したEC事業を行っている企業です。独自のECサイトを通じて商品を販売しており、売上規模は約5,000万~6,000万円でした。
買い手様は、卸売業を中心に複数の事業展開をされている東京の企業です。 Eコマースに関心を持たれており、本件にもご関心をお寄せいただきマッチングが実現しました。

-売り手のオーナー様は、どのような不安や課題を抱えておられたのでしょうか。

売り手のオーナー様は本件のEコマースビジネスだけでなく、複数のコンビニなども展開されており、Eコマースに関しては受注から発注、梱包、配送まですべての業務をお一人で対応されていました。
ミリタリーグッズはコアなファンの方が一定数おられて、リピート販売が恒常的にできる形態でした。現在は販売が禁止されているボーガンや模造刀、手裏剣などは、安定して販売ができている状況でした。特にマーケティングを行わなくても、 どんどん売れて売上自体は好調だったのですが、注文がくるたびにご自身で梱包して発送まで行うことに疲れてしまっていました。後継者もおらず、私どもと話を進める中で「コンビニ事業に集中していきたい」というお話もあり、事業譲渡を行う運びとなりました。

マニア市場を活かすM&A戦略:理想の買い手を探す過程

-どのようなポイントに重点をおいて、買い手様を探されたのでしょうか。

当該事業は非常にマニアックでニッチな分野ではあるのですが、安定した収益を上げて顧客もついており、この強みをそのまま活かせるような企業を中心に探索を行いました。また、売り手様が持つ販路と、買い手様がお持ちの販路がシナジーを生み出せるか否かという点もポイントにして探しました。
 
また、北陸の田舎で運営をしており、マニアの中では誰もが知っているほど、独自のブランドを確立したサイトになっていました。そのため、このブランドを活かせることも重視しました。
加えて、仕入れ先のルートを維持できることも重要でした。例えば、 ボーガンなどは中国のメーカーが製造しており、売り手様はこのメーカーと強いパイプをお持ちでした。なかなか一見さんでは仕入れが難しい部分もあり、既存の販路を活かせることが重要でした。また、模造刀などは岐阜県の関市などに老舗の卸があり、新たに販路を作りにくいため、北陸の地に人材を置いて取引先とのリレーションを維持する必要がありました。 厳しい条件ではありましたが、こうした点に対応できる企業を中心に、お相手を探しました。

株式会社サスガキャピタルパートナーズ 仲川 康彦氏

輸入と通関の壁を越えて:成功を掴んだEC事業の挑戦

-買い手様は、売り手企業のどこに魅力を感じておられたのでしょうか。

買い手様はもともとEコマースに関心をお持ちでしたが、自社で新たにサイトを立ち上げるノウハウはお持ちではありませんでした。入口としてはEコマースの企業であるとアプローチをしたところ、まずご関心をお寄せいただきました。
また、Eコマースの中でも、どこでも販売しているような商品ではなく特殊性のある商品を取り扱うことを希望されており、売り手様がニーズに合致する商品を取り扱われていたことが魅力であったと思います。

-今回の案件で最も印象に残ってるポイントや難しかったポイントはございますか。

ネックだったのは、海外、特に中国から製品を輸入する際に通関や関税に関するノウハウが必要になるのですが、このノウハウを持つ人材がなかなか見つからなかったことです。商品の仕入れができなければ、当然販売もできません。
そのため、非常にネックではあったのですが、買い手様が通関や税関業務に詳しい方を採用をすることで、今後も問題なく仕入れを行える目処が立ちました。
通関や関税に詳しい人材を採用ができなければ、いくらサイトを買収したとしても商品の仕入れが困難になり、事業を継続することは難しかったと思います。

実店舗展開の夢を実現:M&Aで広がる事業の可能性

-今回の案件が成功した要因はどこにあると思われますか。

ディール自体は大規模なものではありませんでしたが、取り扱っていた商品が特殊だったこともあり、買い手様に熱い気持ちがなければ成約には至らなかったと思います。
オーナー様をはじめ役員の方も複数回北陸を訪れ、トップ面談を重ねるほど熱心に当ディールに取り組まれていました。また、ネックとなった税関の部分や、商品の販売方法に関するノウハウの習得にも熱心に取り組まれたことが、成功の最大の要因だったと考えています。

-売り手のオーナー様が最も満足された点やM&A後のアフターストーリーをお聞かせください。


仲川様:
もともとオーナー様は「実店舗も出したい」という夢をお持ちでしたが、お一人で運営をされてていたこともあり、その夢を実現することはできませんでした。
しかし、譲渡後に買い手様が浅草に実店舗を出され、売り手様も夢を叶えることができました。現在はオンラインだけでなく店舗での販売も行っており、店舗には全国からお客様が訪れています。
売り手様の思いと買い手様の達成したいことが見事に合致し、ハッピーエンドを迎えることができました。

M&Aの可能性を信じて:M&Aをご検討されている皆様へ

-最後に、M&Aを検討されている病院の売り手様へアドバイスをお願いします。

本件は取り扱い商品が少し特殊だったこともあり、最初は売り手様も「こんなの買ってくれるところはないでしょう」と不安を抱えていらっしゃいました。しかし、マーケットは広いので実際に調査してみると、ご自身では「いや、うちの会社は買ってくれないよね」と思っていても、買収を望まれる買い手様はたくさんおられると思います。従って、譲渡に関してはあまり先入観を持たず、「お相手を探してみよう」というようなお気持ちで、お声がけいただければと思います。