譲渡額
非公表
売上高
非公表

飲食業界の事例

仕出し弁当会社様の事業承継案件 ~「ただ売るだけではない」経営者様の気持ちに寄り添うM&Aの在り方~

エリア
関東
オーナー
60代
売却検討理由
後継者不在
スキーム
株式譲渡

入江 和夫

有限会社インレット

― 案件の概要について教えていただけますでしょうか。

 売り手様のFAとして関与させていただいた案件になります。規模感としては、売上高が約1億円の埼玉県の企業様でした。


引退計画と事業継承:後継者不在で考えたオーナー様の未来

― 売り手様が抱えていた不安、課題はどのようなものだったのでしょうか?

 後継者の不在でした。売り手オーナー様は引退時期を計画的に考えられており、具体的には「この年齢までは、経営を引き継ぐ」と決めておられました。オーナー様には娘様がお一人いらっしゃいましたが、娘様には事業を継ぐ意思がありませんでした。そのため、「廃業も一つの選択肢」として視野に入れられていました。



M&Aの障壁は手数料だけではない!経営者様の本音に寄り添ったご支援を

― 売り手様のM&Aに対する不安や課題に対してどのようなアプローチをされたのか教えていただけますか?

 売り手様は、私と知り合う2年ほど前にもM&Aに興味を持たれていたそうです。最初のきっかけは、銀行が開催するセミナーに参加されたことでした。そこでM&Aという選択肢を知り、「事業承継の方法として検討できるかもしれない」と考えられたそうです。しかし、M&Aの実行に障壁となったのは高額な手数料でした。当時は仲介会社や銀行が提示する手数料が非常に高額で、売却金額や譲渡金額とのバランスを考えると、「売却するメリットがあるのか」という疑問をお持ちでした。 結果として、その時点では売却を保留する選択をされたそうです。しかし、後継者がいない状況で事業を存続させるには、第三者承継を考えざるえない状況でした。また、銀行主導での手続きにも少し抵抗感をお持ちだったようです。


― 具体的にどのような点を懸念されていたのでしょうか。

 私自身も銀行出身のため、銀行がどのように提案を行うかをよく理解しております。その経験から申し上げますと、銀行員の方がお客様によかれと思って提案しても、それが実際には経営者様の本質的なニーズや気持ちに沿ったものではない場合もあります。そのため、「本当に経営者様の気持ちに寄り添えているのか」「経営者様の立場を理解しているのか」「家族に対する想いや将来は」など、不信感を抱かれるケースもあるのではないかと感じました。私の場合は、自分自身で会社を経営しさまざまな試練にも遭いました。その経験から経営者様の気持ちにも近く、信頼してご相談をいただいたのではないかと思います。


事業への想いと譲受企業様の理解が成約を後押し!

― 本案件が成功した他の要因について教えていただけますでしょうか。

 最も大きな要因は、非常に良い買い手様が見つかったことです。今回の買い手様は同業だったため、事業内容への深い理解をお持ちでした。また、買い手様が驚かれていたのは、売り手様の実務面の体制でした。小規模な企業体にもかかわらず、衛生管理をはじめとする業務が非常に整っていた点が大きな評価ポイントとなりました。しかし、交渉の過程は決して簡単なものではありませんでした。ご契約の前日まで売り手オーナー様に直接お会いして条件の最終確認と調整を行っていました。買い手様と売り手様の間で条件面で、少しギャップがあり、この部分をどのように折り合いをつけるかが、非常に重要なポイントとでした。


― 今回の案件のような、中小企業の売却にかかわる際のポイントはどのような部分でしょうか。

 今回の売り手オーナー様は、35年以上事業を続けてきた社長様でした。その長い間に培われた事業への想いは非常に強いものでした。特に小規模企業様の場合は、経営者様の「想い」が色濃く反映されていると感じます。そのため、単純に「売却金額がこれだから売る」といった割り切った判断をされるケースは少ないと思います。もちろん、企業様ごとに状況や事情は異なります。それぞれの経営者様が抱える個別の背景や課題を汲み取り、いかに寄り添えるかがM&Aを成功に導く鍵だと感じております。



経営者様の立場に立ったご支援の重要性

― M&Aをご検討されている方々へアドバイスをお願いします。

 M&Aありきでお話を進めるのではなく、まずは経営者様ご自身で会社の体制を見直し、引退後にどのような生活を送りたいのかをお話いただければと思っております。そのうえで、金融機関や士業だけでなく、私たちのような中小企業の事業承継に特化した専門家にご相談いただければと思います。 実際にM&Aを進める際には、「お金」だけではなく、さまざまな要素が関係してきます。特に売却に向けた準備は非常に重要であり、私どもはその初期段階から全面的にお手伝いをすることができます。また、場合によっては前向きに、会社の清算のお手伝いも可能ですので、フラットな視点で経営者様とお話しさせていただいと思っております。経営者様の気持ちや想いを大切にしながら、経緯・経過を大切に、ご支援させていただきますので是非ご相談ください。ご連絡をお待ちしております。




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