堀様: 大学卒業後、新卒で日本電気株式会社(NEC)に入社し、約6年間勤務いたしました。その後、外資系の生命保険会社からヘッドハンティングを受け、生命保険販売の世界に転じました。
外資系の生命保険会社では約6年間勤務し、続いて乗合の総合代理店に移り、約13年間にわたり生命保険の営業に従事いたしました。その後、コンサルティングの仕事に転職しました。
生命保険の販売に従事している際、経営者と対等に話ができるようになりたいと考え、中小企業診断士の資格を取得しました。その後、コンサルティング会社と提携し、事業承継支援に携わり始めました。
ある時、生命保険の販売か事業承継コンサルティングか、どちらかを選ばなければならないという人生の岐路に立ち、最終的に事業承継コンサルティングを本業として専念することを決めたことが、この分野に進むきっかけとなりました。
堀様: 当初は生命保険の営業を行いながら、いくつかの事業を並行して進めていました。
その中で、事業承継を専門とするコンサルティング会社と提携し、事業承継のコンサルティングや後継者塾の運営を支援しながら経験を積んでまいりました。
最終的には、その事業承継コンサルティング会社から誘いを受け、約1年間役員を務めた後、独立いたしました。
私は元々、コンサルタントとしても保険営業としてもドクターマーケットに挑戦したいと考えており、「医業承継」という言葉をあえて使いますが、クリニックや病院の事業承継に取り組みたいと思っていました。
所属していた事業承継コンサルティング会社は、主に一般の株式会社や通常の業種の事業承継支援を中心に事業を展開していました。
医療分野の事業立ち上げに関しては許可を得ていましたが、一から挑戦するのであれば、自ら会社を立ち上げて取り組む方が良いと考え、一念発起し、円満に退職して現在に至ります。
堀様: ドクターマーケットの支援を志して独立した経緯があるため、内科クリニック、整形外科クリニック、歯科クリニック、調剤薬局などの医療業界のお客様への支援が多くなっています。
ただし、弊社のパートナー(共同経営者)が経理コンサルティングを行っている関係で、コンサルタントとしては医療分野に限らずさまざまな分野に対応していますが、独立後は医療系のM&Aや事業承継の案件が多くなっております。
医療業界には、他の業種と比較して、頭脳明晰で医療に対する強い情熱を持つ方が多いと感じております。具体的には、ドクター自身がサービスを提供する主体となっており、ドクターに患者様がついているというビジネスモデルがその特徴です。
そのため、医療業界の事業承継は単に持分や事業を譲渡して所有権が変わるだけではなく、医療に対する考え方や理念、診療方針を引き継ぎ、患者様とスタッフも適切に引き継ぐ必要があるという難しさが本質にあると感じております。
さらに、医療法という他の業種にはない制約が存在し、行政や許認可が関わる特殊な業界であるため、しっかりとした手続きを行わないと、引き継いだ後に経営が困難になることがあります。
行政から指導が入って経営が継続できないという事例も多く、他の業界と比較してかなり難しい部分があります。
堀様: 板金塗装や不動産賃貸業のお客様もいらっしゃいます。
行政書士の資格を持つため、会社法の手続きに詳しく、株式会社の取締役会や株主総会の機関設計を適切に行い、引き継ぎのプロセスや議事録の作成、届出の方法について長年の経験があります。
このため、M&Aの契約手続きをお手伝いする上で、株式会社に関する業務が得意です。
一方で、行政書士として医療機関の許認可の届出や、医療機関の事業承継、M&Aの手続きにも携わってきました。
私一人で完結するのではなく、仲間の行政書士と連携しながら、お客様の経営の承継に問題がない形でしっかりとご提案させていただく体制を整えております。そのため、医療業界に限らず、さまざまな業界に対応が可能です。
マーケティングの観点からは「医療専門です」というアプローチが効果的かもしれませんが、医療業界には高い参入障壁が存在します。特に、ドクターは同業者の意見にしか信頼を寄せない傾向があり、この業界は特殊で、社会的にも大きなコミットメントを持っています。
過去には様々なコンサルタントによって利益を搾取されてきた歴史もあり、ドクターからの信頼を得るのは非常に難しい業界です。このため、既に信頼関係を築いているコンサルタントや税理士、または金融機関からの紹介という形でのアプローチが多くなっています。
- ご自身のスキルやマインド面、M&Aアドバイザーとしての強み、仕事に取り組む姿勢で大切にしていることがあれば教えていただけますでしょうか。
堀様: M&A仲介業者は、M&Aが成立し、手数料が発生しなければ目的が達成できないという制約に縛られていると考えています。実際、M&Aありきで売り込み、無理に取引を進めて手数料を得ようとする強引な取引を持ちかけられているお客様も多く見受けられます。
お客様の課題解決にM&Aを選択肢に入れざるを得ない状況があったため、このM&A業界に参入いたしましたが、本音では、強引な取引を進める仲介業者から一人でも多くのお客様を救いたいという強い想いを持って取り組んでおります。
そのため、私はM&Aを前提とせず、お客様のニーズに最適な解決策を見つけるために、丁寧にヒアリングを行います。いくつかの選択肢を提示し、それぞれのメリットとデメリットをしっかりとご理解いただいた上でご判断いただけるよう、細心の注意を払って取り組んでいます。
堀様: オーナー様から従業員様へ事業承継を行う案件において、新しく経営者となられる従業員様から支援の途中で契約を打ち切られたことがありました。
M&Aの仲介業務委託契約を結んでいればそのようなことは起こらないとお考えの方も多いかと思いますが、事業承継をきっかけに関与する場合、必ずしもM&A取引という明確な契約形態ではなく、異なる形で支援に入ることもあります。
例えば、事業承継をプロジェクトとして受託し、設定した月額報酬の何ヶ月分かの手数料をいただき、その期間内に引き継ぎを行うという契約方法もあります。必ずしもレーマン方式の手数料率だけではなく、事業承継の分野からM&A業界に参入した私たちにとっては、これがスタンダードであることもあります。
そのため、取引の難易度に関わらず掛け算式で莫大な報酬が発生することもあり、業界全体として慎重に取り組まなければならないと感じております。
しばらくして、新たに経営者となられた従業員様からお電話があり、売り手側の社長様から会社の売却価格を高くしたいと要求され、助けてほしいと相談がありました。私は売り手側の社長様に対して、すでに合意されている条件について再度ご説明し、その取引が社長様にとってもメリットがあることや、妥当な取引であることを丁寧にお伝えしました。その結果、契約内容は元通りとなり、ディールは無事に完了しました。
ご自身で手数料を抑えたいというお気持ちは理解しますが、専門家が関与する意義と、最後まで何が起こるか予測できないことを実感しました。それ以来、売り手様と買い手様の双方から丁寧に合意を形成し、積み上げて進めていくことをこれまで以上に心がけるようになった経験となりました。
- お仕事以外のお話になるのですが、プライベートの趣味や好きなこと、休日の過ごし方についても教えていただけますでしょうか。
堀様: 私は53歳で、中学生の頃から硬式テニスを続けております。ゴルフも経験がありますが、最近はゴルフのお誘いをお断りし、時間やお金があるならテニスをしたいと感じています。
また、20代から始めたスノーボードも続けており、頻度は減ったものの年に1~2回はスキー場で滑っています。
ここ数年は忙しさのためテニススクールに通えず、誘いを断ることも多いのですが、コロナ以降は自宅で筋力トレーニングに励んでおります。
- ご自身のこと、会社について今後の展望を教えていただけますでしょうか。
堀様: 事業承継は相続の一部であり、オーナー経営者様は事業承継やM&Aでバイアウトした後の財産、資産運用、資産保全、資産承継についても大変気にされます。そのため、きちんとフォローしなければ、これらの心配事が解消されることはありません。
多くのM&A業者は取引が完了するとお客様との関係が希薄になることが多いようですが、弊社では取引後こそが本当のお付き合いのスタートであると考えています。
M&Aも相続を視野に入れて、どのような方法が最適解であるかを常に意識しながら取り組んでおります。そのため、パートナーとなる専門家とチームを組み、お客様の事業承継や相続の課題をトータルでワンストップで解決できる体制を整えています。
将来的には、「経営者の事業承継や相続といえばJIN&Partners」というブランドを確立し、多くの方々に認知されるような企業へと成長していきたいと考えております。
- 最後に一言お願いします。
堀様: 弊社では「全体最適」という言葉を頻繁に使用しておりますが、本質的な問題解決に繋がっているかどうかを重視しております。
M&Aはあくまで選択肢の一つに過ぎません。現状や課題を把握した上で、どのように進めることがご自身の希望を叶えることに繋がるのか、その部分が漠然とされている方も多くいらっしゃるかと思います。
M&Aを実施するか否かを決定する前に、「今何をすべきか分からない」というお悩みをお持ちのお客様のご相談に対応することこそが、弊社が最もお役に立てる部分であると考えております。
初期段階での現状整理や課題の抽出につきましては、無料でご相談に応じておりますので、今後の会社運営についてお悩みの経営者様は、ぜひお気軽にご連絡いただければと思います。