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公開日:2024年9月26日
更新日:2024年9月26日

零細企業とは?中小企業との違い・M&A実施メリット・注意点を解説

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零細企業は、日本経済の重要な一部ですが、経営者の高齢化や後継者不足により、多くが存続の危機に直面しています。これを解決する手段として、M&A(企業の合併・買収)が注目されており、日本だけでなく世界的にもM&Aは重要な手法となっています。

本記事では、零細企業の定義や零細企業が持つ強み、またM&Aのメリット及び注意すべきポイントなどについて解説していきます。

零細企業の経営者の方々に向けて、事業の継続や成長のために役立つ内容を解説しておりますので、是非最後までお読みください。

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零細企業とは

零細企業とは、規模や数量が非常に小さい企業を指す言葉です。具体的にどの程度の規模を指すのか、明確な基準は法律上の定義はありませんが、中小企業基本法第2条第5項に基づく「小規模企業者」が該当することが多いです。具体的には、業種ごとに常時使用する従業員数が以下の基準に該当します。

・製造業、建設業、運輸業など:従業員数が20人以下
・卸売業、サービス業、小売業など:従業員数が5人以下

零細企業の判定については、従業員数だけで決めることができません。上記の従業員数であったとしても、法人登記を行っておらず、所得が300万円以下である場合は会社として見なされないからです。小規模企業者であるためには、法人登記が行われ、経済を担う役割が十分に整っていることが特徴的です。

なお、中小企業庁が公表しているデータによると、2016年時点において、日本国内に存在する全企業のうち、零細企業の割合は84.9%であり、大企業の割合は、わずか0.3%しか存在していないのが現状です。

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零細企業と他の企業の違い

零細企業だけでなく、大企業や中小企業、ベンチャー企業と定義されている会社も存在します。それぞれ零細企業と各企業において何が異なるのか、具体的な内容を踏まえ解説していきます。

・大企業との違い
・中小企業との違い
・ベンチャー企業との違い

大企業との違い

大企業も零細企業と同様に明確な法的定義はありませんが、一般的には中小企業の基準を超える資本金や従業員数を持つ企業を指します。特に企業規模を明確に示す場合、以下の基準が用いられることがあります。

①最終事業年度における貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上。
②最終事業年度における貸借対照表の負債の部に計上した額の合計が200億円以上。

また、大企業からの出資をうけ、一定の条件を満たす場合は、「みなし大企業」と呼ばれ中小企業を対象とした補助金などを申請することができません。

中小企業との違い

零細企業と中小企業の違いは、その規模にあります。中小企業は、中小企業基本法に基づき、業種ごとに資本金や従業員数の基準で定義されています。

中小企業の定義基準は下記の通りです。

①製造業・建設業・運輸業、その他業種(②~④の業種は除く): 資本金3億円以下、従業員数300人以下
②卸売業: 資本金1億円以下、従業員数100人以下
③サービス業: 資本金5,000万円以下、従業員数100人以下
④小売業: 資本金5,000万円以下、従業員数50人以下

これに対し、零細企業には法律上の明確な定義はありませんが、一般的には上記の中小企業の定義よりもさらに小規模な企業を指します。資本金や従業員数が中小企業の基準を下回る企業が零細企業と呼ばれます。

零細企業と中小企業の違いを理解することで、それぞれが対象となる支援制度や法律の適用範囲も明確にすることができます。

ベンチャー企業との違い

ベンチャー企業は新しいアイデアや技術をもとに革新的なサービスやビジネスを展開する企業を指します。規模の大小に関係なく、成長志向が強く、リスクを取って新しい市場を開拓する姿勢が特徴です。多くのベンチャー企業はスタートアップとして始まり、急成長を目指しています。

そのため、零細企業は主に規模や資本金で分類されるのに対し、ベンチャー企業はその革新性や成長志向といったビジネスの性質や目的において違いがあると言えるでしょう。ただし、多くのベンチャー企業は中小企業に含まれていることが多いです。

零細企業の強み

零細企業においては、企業規模が小さいからこそ持っている強みがありますので、それぞれ解説していきます。

・地域密着で事業展開できる
・意思決定がスピーディーで柔軟性が高い

地域密着で事業展開できる

零細企業の強みの一つは、地域密着型で事業展開ができることです。多くの零細企業はその地域に深く根付いたビジネスを行っており、地域住民にとってなくてはならない存在となっています。

その規模の小ささゆえに、顧客や地域との関係が密接であり、特にリピーターが多いのが特徴です。全国展開する大企業とは異なり、地域の特定のニーズに応じたサービスや商品を提供することで、安定した売上を維持している企業が多いです。地域の需要に迅速に対応できることも、零細企業ならではの強みと言えるでしょう。

意思決定がスピーディーで柔軟性が高い

意思決定がスピーディーで柔軟性が高い点も強みです。経営者自身が業務の中心となることが多いため、経営判断が迅速に行われ、変化する市場のニーズに素早く対応できます。

また、小規模な組織構造のおかげで、トップダウンの決定が容易であり、経営者の意向がダイレクトに反映されやすいです。そのため、大企業では難しい迅速な戦略変更や新商品の投入が可能です。これにより、競合他社に先駆けて新たなビジネスチャンスを捉えることができるのです。

さらに、独自の技術やノウハウを持つ企業も多く、これが成長の原動力となっています。柔軟な対応と迅速な意思決定により、零細企業はしばしば市場での競争力を発揮し、短期間で事業規模を拡大するケースも存在します。

零細企業のM&A動向

零細企業のM&Aに関する動向としては、近年M&Aは増加しつつあります。その主な理由は、経営者の高齢化と後継者不足です。経済産業省の調査によれば、2025年には経営者約381万人のうち約245万人が70歳以上となり、その半数が後継者未定です。このままでは廃業が急増し、約650万人の雇用と22兆円のGDPが失われる可能性があります。

これを防ぐため、零細企業でのM&Aが注目されています。「事業承継・引継ぎ支援センター」の支援実績は増加しており、2011年から2022年までに約10万件の相談と約8,000件の事業引継ぎが行われました。後継者不足が続く中、M&Aは零細企業の存続に欠かせない手段となっています。

零細企業がM&Aによる会社・事業の売却を実施する上で重要なポイントは、オーナーへの依存度が低いビジネスオペレーションを構築することです。

零細企業はオーナーのワンマン経営となっているところがほとんどです。M&Aにおいて買い手は事業の持続性・収益性を見て買収するか判断するため、オーナーに依存していると、オーナーが不在となった場合に持続性・収益性が失われると判断される恐れがあります。

そのため、M&Aによる事業の売却を検討する場合は、オペレーションを社内の他のメンバーへ引き継ぐなど、オーナー自身への依存度を下げるようにしましょう。

零細企業がM&Aを行うメリット

零細企業がM&Aにより、別の企業に譲渡することで、売り手側にも買い手側にも様々なメリットを得ることができますので、それぞれの立場ごとに分けて解説していきます。

売却する零細企業視点でのメリット

まずは、売却する零細企業側のメリットを3つご紹介しますので、一つひとつ解説していきます。

・後継者問題を解決できる
・資金が得られる
・事業をより成長させられる

後継者問題を解決できる

1つ目は、後継者問題の解決についてです。既にM&Aの動向に解説した際にも触れましたが、零細企業の経営者が抱える課題の一つに後継者不足を挙げることができますが、M&Aによってこの課題を解決することができます。適切な買い手を見つけることができれば、これまで築き上げた事業やブランドを維持し続けることができるでしょう。

また、M&Aをすることで、事業や従業員、顧客基盤などこれまでの状況が同じ形態で引き継がれていくため、多くの関係者にとってもメリットもあります。これにより、企業の資産や知識が消えることなく、新しい経営者に引き継がれることが期待されます。

資金が得られる

2つ目は、資金を得ることができる点です。零細企業を経営し続けていくことができれば、その分利益を得ることができます。ところが、実際は環境も大きく変化している状況において、今後も継続して利益を得ることができるとは限りません。

しかし、会社を売却することで、将来見込まれる利益分も含め、まとまった資金を得ることができます。

事業をより成長させられる

3つ目は、事業の成長についてです。売却することで買収した企業のノウハウや人材を活用することができるようになります。その結果、零細企業単独では難しいと考えられていた目標も達成に向けて大きく進めていくことができる可能性があります。

零細企業を買収する企業目線でのメリット

続いて、買い手側の企業が得ることができるメリットを2つご紹介します。

・新たな顧客を獲得できる
・コストをかけずに人材を確保できる

新たな顧客を獲得できる

まず1つ目は、新たな顧客の獲得です。M&Aをすることにより、売り手側である零細企業が保有していた顧客層や顧客へのアプローチが可能となります。特に、零細企業は地域密着型の企業が多いことから、零細企業を買収することで、その地域特有の強力な顧客基盤をも獲得できるため、ビジネス拡大の重要な足がかりとなるでしょう。

コストをかけずに人材を確保できる

2つ目は、人材確保についてです。必要とされるスキルや知識を持った社員をそのまま得ることができるため、人材育成や採用の観点で大きなコスト削減となるでしょう。特に、昨今人口減少に伴う人手不足の課題が深刻化している中で、時間や労力、コストを抑えつつ高度な人材を確保できる点については、大きなメリットとして考えることができるでしょう。

M&Aの注意事項

続いて、実際にM&Aを実施するにあたり、注意しなければならないポイントについて、売り手側と買い手側の立場に分けて解説していきます。

売り手側の注意点

まずは、売り手側で注意しなければならないポイントを4つ解説していきます。

・自社の価値を適切に算定する
・従業員・取引先への情報の取り扱い
・売却の条件を明確にする
・契約内容は徹底的に精査する

自社の価値を適切に算定する

まずは、自社の価値を適切に算定することが重要です。自社を過大に評価してしまうと、思うように買い手企業が見つからなくなってしまうでしょう。こうした状況を防ぐためにも、第三者の専門家に評価してもらうと良いでしょう。適切に評価をすることで、適切な買い手企業を選定できるだけでなく、自社の強みも明確になることで、より企業評価が上がる可能性が考えられます。

従業員・取引先への情報の取り扱い

2つ目は、従業員・取引先への情報の取り扱いについてです。M&Aは、互いの企業だけでなく、その他の外部企業に対しても大きな影響を与えることが予想されます。そのため、買収が確定した際には、必ず速やかに社員全員に情報を共有し、一人ひとりの疑問点や不安に感じる点を解消していく必要があります。

売却の条件を明確にする

3つ目は、売却の条件を明確にすることです。譲渡先の企業が見つかったら、譲渡が決まったのちに、経営方針に対する認識違いが生じないよう、自社が決して譲ることができない条件を明らかにしておく必要があります。

実際の交渉を進めていく際には、価格だけでなく、価値観の共有やM&A後のビジョンもしっかり確認することが大切です。

契約内容は徹底的に精査する

最後は、契約内容は徹底的に精査することです。M&Aを実施するうえで、事前に取り決めておかなければならないポイントは多くあります。それらポイントについて、相互の見解に誤りがないか、しっかりと確認したうえで、契約を完了するようにしましょう。こうした点からも、専門家と相談しつつ、契約を進めていくと良いでしょう。

買い手側の注意点

買い手側においても注意新ければならないポイントがありますので、2つのポイントを解説していきます

・デューデリジェンスを徹底する
・買収候補先の価値を適切に算定する

デューデリジェンスを徹底する

1つ目は、デューデリジェンス(事前調査)の徹底です。買収した後に、思わぬ債務や体制の課題が明確になったとしても、買い手企業が責任を負わなければなりません。特に、労務管理や情報セキュリティに関する対応が不十分であるといった、コンプライアンスに関する課題は注意して確認する必要があります。

当初想定していなかった損失が発生しないよう、必ずデューデリジェンスをしっかりと行うようにしましょう。

買収候補先の価値を適切に算定する

2つ目は、買収候補先の価値を適切に算定することです。買収候補に上がっている企業において、財務諸表で数値としては表記されていない、隠れた価値を持っている場合が度々あります。高い技術力や地域密着に伴う顧客基盤など、数字で評価されにくいポイントについても、しっかりと見極める必要があります。

零細企業がM&Aを実施する方法

零細企業がM&Aを実施するにあたり、主に取られる2つの手法について概要をご紹介します。

・株式譲渡
・事業譲渡

株式譲渡

1つ目は、株式譲渡と言われる方法です。株式譲渡は、零細企業のM&Aで頻繁に使用される手法です。これは、オーナー経営者が所有する株式を買い手企業に売却することで行われます。株式譲渡には相対取引、市場買付け、公開買い付け(TOB)の3種類がありますが、零細企業や中小企業のような非上場企業の場合は、相対取引のみ可能です。相対取引とは、売り手と買い手の両者が直接交渉を行い、取引所を通さず取引を行う方法です。

経営者が株式の過半数を所有しているような非上場企業においては、相対取引をすることで株式譲渡が完了しますが、様々な株主が分け合って過半数を所有している場合、それぞれの企業で交渉が必要となってくるため、注意が必要です。

事業譲渡

2つ目は、事業譲渡と言われる手法です。株式譲渡とは異なり、会社全体を売却するわけではなく、文字通り特定の事業に関する資産や権利などを売却する方法です。この手法は、複数の事業を展開している企業が特定の事業を切り離し、主力事業に集中したい場合に適しています。譲受け側にとっても、必要な事業のみを選んで取得できるというメリットがあります。

ただし、株式譲渡と比べると、事業譲渡では個別に契約を結ぶ必要があるため、手続きが複雑になることがあります。このため、詳細な交渉と綿密な計画が重要です。

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まとめ

本記事では、零細企業の概要やM&Aの手法、そのメリットや注意すべきポイントなどについて解説してきました。

日本の企業全体で零細企業は多くの割合を占めているものの、現状ではその数は減少している傾向にあります。零細企業の経営者にとって、後継者問題や環境の変化に対応し顧客のニーズにあわせて会社を成長させていくことは、容易なことではありません、こうした課題を解決していく手法として、M&Aは有効な手段として挙げることができます。

本記事で解説した通り、それぞれ注意すべきポイントを事前にしっかりと確認したうえで、今後の対応を検討していくようにしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修者

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