- これまでのご経歴をお教えください。

竹田様: 前職では、ベンチャー企業の人材紹介会社に入社し、特に保育業界に特化した人材紹介業務を約2年半担当しました。日本では人材不足が経営の大きな課題となっていることはよく知られていますが、私も多くの経営者がこの問題に直面しているのを目の当たりにしました。

この問題に対する一つの解決策として、M&A(企業の合併や買収)により、人材やノウハウを確保し、一方で売り手様は経営継承の課題を解決する方法があることを知りました。

この新しいアプローチに大きな魅力を感じ、現在の会社でM&A仲介の仕事を始めることとなりました。

- M&Aのアドバイザーとして得意な分野、業種・業界があれば教えてください。

竹田様: 私は多様な業種でM&Aをサポートしてきましたが、特に英会詰スクール、フランチャイズ本部、PR会社、アパレルのEC事業などが主な実績です。単なるM&Aだけでなく、事業承継型にも力を入れており、後継者が不在で困っている企業様の支援も行っています。また、M&Aに至らずとも、買い手様と売り手様双方のビジョンが合致する場合には、戦略的アライアンスから資本投資に至るまで、経営統合を目指した提案をさせていただいています。

また、弊社の子会社として設立された(株)プリンシパル・オーシャンでは、企業の成長を目的としたプリンシパルインベストメント（※）を専門としています。
ファーストディールは昨年夏にピザ店であるPAZZO DI PIZZAを買収し、飲食店の事業成長をハンズオンで支援しています。

具体的には、マーケティング戦略の強化、店舗運営のデジタルトランスフォーメーショ ン(DX)、インバウンド需要の取り込みなどの支援を行いました。その結果、PAZZODI PIZZAの売上高は1.9倍増加し、営業利益においては4.7倍に成長しました。

（※）プリンシパルインベストメント概要
企業が自社の資金を使って直接投資を行い、投資先企業の成長を支援。投資家は経営に積極的に関与し、資金提供や経営支援、専門知識の提供などを通じて、企業の価値向上を目指す。

- ご自身のスキルやマインド面で大切にしていることがあれば教えていただけますでしょうか。

竹田様: マインド面での私の強みは、経営者様に対する深い尊敬の気持ちです。私自身は経営経験がないため、経営者様が直面する困難や苦労を理解しようと努め、それを踏まえた上でアドバイスを提供するよう心がけています。私は、売主様と買い主様双方に寄り添うサポートを行うことを常に大切にしています。

スキル面では、知識や情報が不足している場合がありますが、そのような時は決して放置せず、税理士や社労士、弁護士、所属する協会のベテランアドバイザーに確認を取ることで、必ず正確な情報を売主様と買い主様の双方に提供することを実践しています。

- M&A仲介のお仕事をされる上で大切にされていることや、仕事に取り組む姿勢があれば教えていただけますでしょうか。

竹田様: M&A仲介では、売り手様と買い手様の双方が満足する解決策を見つけることを最優先にしています。

M&Aは目的ではなく手段であり、双方の関係が長期的に良好であることが重要ですので、私の役割は、どちらか一方の意見を押し付けることなく、両者がwin-winの状況を迎えられるようにバランスを取りながら提案をすることだと思っています。

- これまで携わられてきたM＆Aのディールの中で印象に残っているエピソードがあれば教えていただけますでしょうか。

竹田様: 特に印象に残っているのは、ある中小企業のオーナー様をサポートした際のエピソードです。この企業はオーナー様お一人で運営されており、従業員様はいませんでしたが、無借金で黒字を維持し、非常に安定した経営をされていました。それにより事業には高いバリュエーションがつきました。

しかし、オーナー様の独自のノウハウがマニュアル化されていなかったため、このビジネスを第三者に引き継ぐことが非常に困難でした。結果として、希望額に見合う買い手様を見つけることができず、売却を取りやめるという判断に至りました。

このディールを通じて、M&Aが成功するには両者の利害が一致する必要があること、そして買い手様が必ずしも希望通りに見つかるわけではないという現実を痛感しましたし、譲渡を成功させるためにはノウハウの資料化等の売り手様の事前準備も非常に重要であると実感しました。

私がキャリアをスタートしたばかりの頃に経験させて頂いたので、とても印象に残っております。

- プライベートの趣味や好きなこと、休日の過ごし方についても教えていただけますでしょうか。

竹田様: ビールが大好きでよく飲みに行っています。

他にも、年に2回ほど音楽フェスティバルに行き、非日常空間を味わっています。

- 今後の展望を教えていただけますでしょうか。

竹田様: 弊社はビジョンに「M&Aを通じて日本経済に貢献する」を掲げております。

国内の廃業問題を少しでも緩和したい、後継者不在を解決したいという想いが非常に強いので、少数精鋭ではございますがこれからも自分自身も成長しながら、M&Aアドバイザーを遂行してまいります。

さまざまな売り主様からご相談を頂いてきましたが、事業フェーズや業種、譲渡理由は様々です。実際に自社も譲渡できるのだろうか、可能性はあるのだろうかと、不安や気になっておられる方も多いですが、まずは勇気を出してご相談してみてください。

可能性の一助となるべく、お手伝いをさせていただけたらと考えています。