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公開日:2024年9月26日
更新日:2024年9月26日

PMIとは?M&Aにおける重要性・進め方・成功ポイント・事例を解説

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PMIとは?M&Aにおける重要性・進め方・成功ポイント・事例を解説

企業の成長や事業拡大の手段として、近年M&Aが注目度が高まるに伴い、M&A後の統合プロセスであるPMIの重要性も高まってきています。

本記事では、PMIの基本的な概念からその重要性、具体的な進め方、成功のポイント、そして実際の事例までを詳しく解説します。

本記事を通じて、PMIの全体像を掴み、実践的な知識を深めていただければ幸いです。

この記事の監修者

PMIとは?


PMI(Post Merger Integration)とは、M&A(合併・買収)後の統合プロセスを指します。PMIは日本語で「合併後の統合」を意味し、M&A成立後に行われる一連の取り組みを通じて、統合効果を最大化することを目指します。PMIのプロセスは、経営、業務、意識の3つの側面から成り立ちます。

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PMIはなぜ重要?

PMIは、M&Aによって発生するリスクを低減させ、M&Aの目的を達成するプロセスであるため重要です。

M&Aが成立すると、企業全体が混乱に陥りやすく、業務上の重大なミスやシステム障害などのリスクが増えることになります。様々なリスクに対処しない場合、従業員の退職や顧客離れ、内部対立の発生などが生じ、会社の業績が悪化する可能性があります。

PMIの効果

PMIを通して、M&Aに伴う組織統合をスムーズに推進できます。具体的には、業務上の混乱やシステム障害を防いだり、シナジー効果の最大化を実現したりといった効果が期待できます。

PMIで実施する項目


PMIとは何か、なぜ重要なのか分かったでしょうか。次に、実際のPMIにはどのような項目が含まれるのか、見ていきましょう。

経営体制・組織の統合

PMIの過程では、買収元企業と買収先企業の経営体制および組織の統合が極めて重要です。

各企業の経営理念や企業文化には少なからず違いがあるため、これらの違いを放置したまま業務を続けると、組織内での軋轢が生じ、最終的には衝突や人材流出といった問題に発展する可能性があります。

まず、経営体制の統合では、統合後の経営体制や意思決定プロセスを明確にすることが求められます。経営層が変わることで、リーダーシップスタイルや意思決定機関のあり方も見直されるべきです。

これにより、従業員が一貫した指針のもとで働けるようになります。

次に、組織体制の統合です。組織構造や人員配置を見直し、新しい組織図を作成することで、従業員が自分の役割を明確に理解できるようにします。

人員配置においては、適材適所の配置を心掛け、各従業員のスキルや経験を最大限に活用できるようにします。

さらに、情報伝達フローの整備も重要です。組織統合後は、情報の流れが円滑であることが求められます。

効率的な情報共有システムを導入し、定期的なミーティングや報告会を開催することで、全員が同じ情報を共有し、同じ目標に向かって働ける環境を整えます。

最後に、企業文化の統合です。異なる企業文化を融合させ、新しい一体感を生み出すことは難しい課題ですが、統合の成功には不可欠です。定期的なコミュニケーションを通じて相互理解を深め、共通の企業価値観を築く努力が求められます。

制度の統合

総務、法務、人事などの領域での制度統合も不可欠です。

特に、人事評価制度、報酬制度、退職金制度の統一は、従業員の公平感を保つために早急に着手すべきです。

社内の制度に格差があると、統合後に従業員間の不満が生じ、組織全体のモチベーションに悪影響を及ぼす可能性があります。

人事評価制度については、両社の評価基準や評価方法を統一し、公平かつ透明性のある評価制度を構築することが求められます。

違和感のない評価制度を構築することで、従業員が自身の努力や成果が正当に評価されると感じることができ、モチベーションの向上につながります。

報酬制度については、給与やボーナス、その他の報酬体系を見直し、統一された基準を設けることで、従業員間の不公平感を解消しましょう。

また、退職金制度も同様に見直し、統一した基準を導入することが重要です。

研修制度については、M&A後の新しい環境に適応するために、従業員向けの研修プログラムを見直し、必要なスキルや知識を習得するための機会を提供しましょう。従業員が新しい制度や文化に迅速に適応し、スムーズに業務を遂行できるようになります。

業務システムの統合

業務システムの統合は慎重に行う必要があります。まずは優先順位やスコープを明確にしましょう。

単に譲受企業のオペレーションやシステムに統一するのではなく、両社が成長するために最適なオペレーションやITシステムを設計します。

既存の仕組みにとらわれず、将来的な成長を見据えた「あるべき姿」を根本から検討することが重要です。

システム統合を円滑に推進するためには、従業員の理解と協力が不可欠です。統合の意義を理解してもらうことで、担当者の負担を軽減し、協力を得ることができます。

また、統合の過程では一時的な業務負担の増加が予想されるため、事前に対策を講じておくことが重要です。

業績評価基準の再策定

PMIでは、統合後の効果検証とともに、期待した効果が現れない場合のフォローアップが重要です。

したがって、既存の業績評価基準や仕組みを見直し、新たな基準を再策定することが不可欠です。

業績評価基準の再策定においては、KPI(重要業績評価指標)の設定やマネジメントサイクルの導入が効果的です。

統合後の目標達成度を正確に把握するために、明確なKPIを設定します。

明確なKPIを設定することで、各部門や個人のパフォーマンスを客観的に評価することができ、業績向上のための具体的な指針となります。

業績評価基準を再策定した後は、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを導入し、継続的なモニタリングと改善を行いましょう。

改善を継続して行うことで、業績評価の精度を高め、統合後の企業全体のパフォーマンスを向上させることができます。

事業内容や取引先の精査

両社の事業内容や取引先を詳細に分析し、評価をしましょう。

分析・評価の過程で、重複する製品やサービスの統廃合、複数ある仕入れ先の絞り込みなどを検討します。

事業内容や取引先を精査することで、効率的な運営体制を構築し、コスト削減や収益増加を図ることができます。

PMIの進め方


次に、実際にPMIを進めることになった場合の進め方を見ていきましょう。

1. M&Aの方針を決める

最初にM&Aの方針を明確にすることが重要です。

具体的には、M&Aをどのような手順で進めるのか、その枠組みやスキーム、期間の検討を行います。

代表的な枠組みとしては、連邦型統合、支配型統合、吸収型統合があります。

連邦型統合は、対象企業を子会社として残し、経営の自主性を維持させる統合形態です。

対象企業の独立性を尊重しながら、シナジー効果を追求する場合に適しています。経営資源を共有しつつ、各社の強みを活かした運営が可能となります。

支配型統合は、対象企業を子会社として残す一方で、経営に積極的に関与する統合形態です。

対象企業の経営に直接的な影響を与え、統一的な経営方針のもとで迅速な意思決定を行うことが可能です。

企業文化や業務プロセスの統一を目指す場合に有効です。

吸収型統合は、対象企業に対して吸収合併や吸収分割、事業譲渡といった手段を用いて自社に吸収し、一体化を図る統合形態です。迅速な統合と経営効率の最大化を目指す場合に適しています。

完全な一体化により、リソースの最適配置とコスト削減が期待できます。

2. 統合計画を策定する

次に、詳細な統合計画(ランディングプラン)の策定を行います。

統合計画は、M&Aでの経営権移転手続き(クロージング)後に実施されるもので、通常は3〜6ヶ月以内に実施されます。

事業面および管理面の見直し作業を含めた具体的な実行計画を策定します。

統合計画に含まれる要素としては、タイムスケジュール、マイルストーン、責任者、役割分担、リソース、予算、リスク、コミュニケーションプラン等です。

3. 100日プランを作成する

M&A完了後の最初の100日間の作業計画をスケジューリングしたものが「100日プラン」です。

最初の100日間で対応を行うべき課題やタスクであるため、統合計画の中でも優先度が高いものが要素として含まれることになります。

4. M&Aを実施する

100日プランを基にM&Aを実施します。現場レベルでは、優先度が高いタスク・課題の解決を進めます。

マネジメントレイヤーは、M&A、PMIの状況をモニタリングすることが求められます。

5. 効果検証を行う

M&Aの実施後は、PMIの効果検証を行います。

100日プランに基づいた対応ができていたか、想定外の事象は発生したのか等、定性と定量の両面での検証を行うことが理想です。

100日プランを実行した後も、定期的にM&A前からの変化をモニタリングし、効果検証を継続することでよりPMIの改善に繋げることができます。

PMIを成功させるためのポイント


PMIを成功させるにはいくつか押さえておくべきポイントがあります。

以下でそれぞれ解説していきます。

経営層がM&Aの目的を明確にする

PMIを成功させるためには、経営陣が経営ビジョンやM&Aの目的を明確にすることが重要です。

M&Aの目的が明確であれば、統合計画をM&Aの目的から逆算して立案することができます。

作成された統合計画に基づいて推進をしつつ、マネジメントレイヤーは進捗のモニタリングをする必要があります。

徹底してデューデリジェンスを行う

デューデリジェンスとは、買収先に対して詳細な調査を行い、正確な価値やリスクを把握することを指します。

具体的には、経営体制や事業規模、法務、人事、財務、ITシステムなど幅広い視点で調査を行います。デューデリジェンスの目的は、正確な企業価値を算出することで適切な買収価格を算出することです。

また、正しく買収先の企業の問題や課題、リスクを把握することも、目的の一つです。

買収後の懸念となりそうな点を事前に認識しておくことで、買収後の統合プロセス(PMI)にも役立ちます。

デューデリジェンスには時間とコストがかかりますが、徹底的に調査を行うことで、買収後の文化統合や組織の一体感の醸成に貢献します。

無理のない実行スケジュールを組む

無理のない実行スケジュールを組むことは非常に重要です。

スケジュールに無理があると、統合プロセス全体の品質や効率に悪影響を及ぼし、PMIの失敗に繋がる可能性があります。

現実的なスケジュールを引くことを意識しましょう。具体的な方法としては、各フェーズごとに目標と期限を設定します。

例えば、組織の再編、ITシステムの統合、文化の融合など、それぞれに対して達成可能なスケジュールを計画しましょう。

また、関係者全員がスケジュールに納得し、協力して進められるようにすることも大切です。

スケジュールを計画する際は、関わる全ての部門を巻き込みましょう。

各担当者の役割を明確にし、責任感を持ってもらうことができると統合プロセスを円滑に進めることができます。

人材を適材適所に編成する

適材適所の人材編成を行うことも大切です。PMIは複数の部門を横断する全社的プロセスであるため、社内から人材を集めてプロジェクトとして進めるべきです。

可能であれば、PMI専任の担当者を設置しましょう。

専任がいくことで、各部門の橋渡し役となり、スムーズにコミュニケーションを行うことができます。

社内で人材が不足している場合は、一時的にコンサルタントを雇ったり、専門家のアドバイスを受けるということも一つの手段です。

PMIの成功事例

PMIに成功した企業の事例を紹介します。

サントリーホールディングスとビーム社

2014年、サントリーホールディングスは米国のウィスキーメーカー、ビーム社を約160億ドルで買収しました。

この買収はサントリーにとってスピリッツ事業のグローバル展開を加速させる重要なステップとなりました。

特に、ジムビームやメーカーズマークといったバーボンウィスキーの販売を通じて、サントリーの売上は飛躍的に増加し、世界の高級スピリッツ市場で第3位に成長しました。

PMIの成功要因として、サントリーはビーム社の伝統や文化を尊重しつつ、2つの現地蒸留所を維持する方針を採用しました。

サントリーのM&A戦略は、事業拡大だけでなく、企業文化や伝統の調和を重視することで成功を収めた好例です。

日本電産

日本電産の創業は1973年ですが、今まで合計60社以上ものM&Aを実施しています。日本電産のPMIには特徴があります。まず、買収先の経営者や従業員を解雇しなかったり、買収先のブランドを残したりすることで、従業員に安心感を与えています。また、買収先に自社から派遣した人材は、役割を終えた後で撤退させます。買収先の人材を丁寧に教育し、活かすことで赤字企業の黒字化を成し遂げてきた成功例です。

PMIの失敗事例

反対に、PMIに失敗した企業の事例を紹介します。

みずほ銀行

みずほ銀行の統合では、異なる銀行のシステムを統合する過程で多くの技術的な問題が発生しました。

2002年の日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が統合してみずほ銀行が誕生して以降、何度もシステム障害が発生しており、大規模なものもありました。

原因としては、3社の折り合いがつかず、方針を決めきれなかった点があげられています。

ウォルマートと西友

2008年6月、ウォルマートは、西友を買収しました。ウォルマートは西友の買収を通して、日本におけるシェアを広げることを狙っていました。

しかし、期待した業績改善は実現できず、結果的に累積赤字となりました。

価格設定を変更し、安価な商品を販売する戦略でしたが、消費者が低価格に慣れてしまい、他店に顧客を奪われてしまったことが原因と言われています。

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まとめ

PMIの基礎から具体的な進め方、事例を見てきました。

M&Aの実施後、良い業績を継続するためにはPMIが非常に重要です。

本記事で紹介をしてきた成功のポイントを抑えれば、実際に当事者となった場合でも良い結果を生むことができるでしょう。

みなさんのM&Aの検討やPMIの推進に役立てれば幸いです。

この記事の監修者

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