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公開日:2024年6月21日
更新日:2024年7月5日

MBIとは?MBOとの違い・スキーム・メリットをわかりやすく解説

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MBI(Management Buy-In)とは、外部の経営者や投資家が企業の経営権を取得し、新たな経営体制を構築する手法です。

この手法は、事業承継や経営再建の場面で特に注目されており、企業の成長や持続的な発展を目指すための有効な手段として利用されています。

本記事では、MBIの基本的な概念から、MBOとの違い、具体的なスキーム、活用するメリットとデメリット、さらに成功するための条件について詳しく解説します。

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MBIとは?

MBI(Management Buy-In)とは、外部の投資家やファンドが企業を買収し経営権を獲得した後、外部から経営の人材を招聘して既存の経営陣に代わって経営を実施する手法を指します。

この手法は、外部から優れた経営者を招聘し、企業の価値向上や成長戦略の実現を目指すもので、特に事業承継や経営再建の場面で活用されます。

MBIを実施する目的

MBIを実施する主な目的は、企業の経営体制を強化し、事業の成長を促進することです。具体的には、以下のような目的があります。

・経営能力の向上:外部から優れた経営者を迎え入れることで、経営ノウハウやスキルを企業に導入し、経営能力を向上させます。
・事業承継の円滑化:経営者が引退する際、後継者が見つからない場合や、現経営陣に十分なリーダーシップがない場合に、MBIを通じて事業承継を円滑に進めることができます。
・経営再建:経営が悪化している企業に対して、外部から新しい経営者を投入することで、経営再建を図ります。

MBIが注目される理由

MBIが注目される理由は、企業の持続的な成長と安定した経営を実現するための有効な手段であるからです。具体的には、以下の点が挙げられます。

・経営革新の推進:新たな経営者がもたらす新しい視点や戦略により、企業は革新を推進しやすくなります。これにより、市場での競争力が向上します。
・投資家の利益:MBIは外部投資家にとっても魅力的な投資機会です。企業の経営改善に伴う企業価値の向上により、投資家は高いリターンを期待できます。
・柔軟な資金調達:MBIにより、企業は外部からの資金を活用して経営資源を強化することができます。これにより、新たな事業展開や成長戦略を柔軟に実行することが可能になります。

MBIと「MBO」の違い

MBI(Management Buy-In)とMBO(Management Buy-Out)は、企業の経営権を取得する手法として注目されていますが、その目的や経営権の所在、適用される場面には明確な違いがあります。

目的が違う

MBIとMBOは、いずれも経営権の取得を目的としていますが、その具体的な目的には違いがあります。

MBIは、外部の経営者や投資家が企業の経営権を取得し、新たな経営体制を構築することを目的としています。これにより、経営ノウハウや新しい視点を企業に導入し、成長や再建を図ります。

特に、後継者が見つからない場合や、現経営陣が十分なリーダーシップを発揮できない場合に有効です。

一方、MBOは既存の経営陣が自社の経営権を取得することを目的としています。これにより、経営者は外部からの干渉を避け、自主的かつ柔軟な経営が可能になります。

主に、現経営陣が企業の独立性を維持しながら事業承継を進めたい場合や、株主構成を変更して経営権を強化したい場合に利用されます。

経営権の所在が違う

MBIとMBOは、経営権の取得者が異なる点でも違いがあります。

MBIでは、外部からの経営者や投資家が企業の経営権を取得します。これにより、外部の視点やスキルが導入され、経営の刷新や革新が期待されます。新たな経営者が企業のトップに立つため、企業文化や経営方針が大きく変わることがあります。

MBOでは、既存の経営陣が企業の経営権を取得します。このため、現経営陣のリーダーシップの下で、企業の経営方針や文化が維持されます。内部からの経営権取得であるため、既存の事業運営に大きな変更はなく、安定した経営が継続されます。

活用される場面の違い

MBIとMBOは、活用される場面にも違いがあります。

MBIは、事業再建や成長を目指す企業、後継者問題に直面している企業にて活用されます。外部の経営者を導入することで、企業の持続的な成長や新たな方向性を模索する場面で有効です。

特に、経営改善が必要な場合や、会社として新しいビジョンを打ち出したい場合に活用されます。

MBOは、現経営陣が企業の独立性を保ちながら経営権の強化を図りたい場合に活用されます。

株主構成の変化や外部からの影響を最小限に抑え、自主的な経営を維持したい場合に有効です。また、従業員のモチベーション向上や経営陣のリーダーシップを強化するためにも利用されます。

MBIが必要なケース

MBIが必要となるケースはさまざまですが、以下のような状況において特に有効です。

経営資源を生かせていない場合

企業が持つ経営資源を十分に活用できていない場合、MBIが有効です。

例えば、技術力や市場シェアといった強力な資源を持ちながらも、経営者のリーダーシップ不足や戦略性の欠如により、その資源が最大限に活かされていない場合があります。このような状況では、外部から優れた経営者を導入することで、経営資源を効果的に活用し、企業の成長を促進することができます。

事業を立て直す必要がある場合

経営が悪化し、事業の立て直しが必要な場合にもMBIが適しています。

企業が赤字経営に陥り、財務状況が悪化している場合、外部から新たな経営者を迎えることで、経営再建を図ることができます。

新たな経営者は、客観的な視点で問題点を洗い出し、効果的な改革を実施することが可能です。

MBIのスキーム

MBIを実施する手法買収の主体
1買収先の企業に経営者を送り込む買収側(ファンド・金融機関等)
2ファンドと経営を担う人物の共同出資経営者
3買収先が経営陣を迎え入れる買収先

MBIにはいくつかの具体的なスキームがあり、それぞれの方法によって異なる効果が期待されます。

主要なMBIのスキームについて詳しく説明します。

買収する側が外部から経営人材を招聘する

買収する側が外部から優れた経営人材を招聘するスキームです。この方法では、招聘された経営者が持つ経験や専門知識を活用し、企業の経営を改善します。

外部からきた経営者は既存の経営陣とは異なる視点を持ち込むため、新しい戦略やアプローチを導入することが可能です。

この手法によるMBIの実施は、金融機関・投資家・ファンドなどが買収主体になります。

新たな経営者がファンドなどと共同出資する

新たな経営者がファンドや他の投資家と共同出資するスキームです。この方法では、経営者がファンドと共同で企業を買収します。共同出資により、経営者はリスクを分散しつつ、資金調達の柔軟性を高めることができます。

また、ファンドからの支援を受けることで、経営戦略上で必要なリソースやネットワークの活用も期待することができます。

買収される側が外部から経営者を迎え入れる

買収される側が自ら、新たな外部経営者を迎え入れるスキームです。

この方法では、既存の経営陣が経営権を譲渡し、託された新たな経営者が企業の経営を引き継ぎます。新しい経営者は、外部の視点から企業の強みや課題を分析し、経営改善を図ります。

この手法は、特に後継者のいない企業において実施されることが多いです。

MBIを活用するメリット

MBIには多くのメリットがあり、企業の成長や安定性の向上に寄与します。MBIの主なメリットについて詳しく紹介します。

経営の安定性向上

MBIの一つの大きなメリットは、経営の安定性が向上することです。外部から優れた経営者が参画することで、経営陣のスキルやノウハウが強化されます。

新しい経営者は、過去の経験や成功事例をもとに、企業の経営課題に対して効果的な対策を講じることができます。これにより、企業の経営はより安定し、持続的な成長を目指すことができます。

事業成長の加速

MBIを通じて新たな経営者が参画することで、事業成長が加速します。新しい経営者は、既存の事業モデルを見直し、新たな戦略を導入することで、企業の成長ポテンシャルを引き出します。また、外部からの視点を取り入れることで、これまで気付かなかった市場機会や成長戦略を発見しやすくなります。これにより、企業は市場での競争力を高め、迅速に事業を拡大することができます。

経営者の交代リスクの軽減

MBIは、経営者の交代リスクを軽減する手段としても有効です。特に、現経営者が引退する場合や後継者が見つからない場合、MBIを通じて外部から新たな経営者を迎え入れることで、スムーズな経営交代が実現します。これにより、経営の空白期間を避け、事業の継続性を確保することができます。

MBIのデメリットとリスク

MBIにはメリットだけでなく、デメリットとリスクも伴います。MBIにおける主なデメリットとリスクについて詳しく説明します。

経営者の選定リスク

MBIの最大のリスクの一つは、適切な経営者を選定することが難しい点です。新たな経営者が企業の文化や事業内容に適合しない場合、経営の不一致が生じ、組織内での摩擦や効率低下を招くことがあります。また、外部から来た経営者が企業の特性や市場環境を十分に理解していない場合、誤った戦略を採用するリスクもあります。経営者の選定は慎重に行う必要があり、経営者の適性や企業との相性を見極めることが重要です。

買収コストと資金調達

MBIを実施する際には、買収コストと資金調達の課題が伴います。外部の経営者が企業の経営権を取得するためには、多額の資金が必要です。この資金を調達するためには、投資ファンドや金融機関からの融資を受ける必要がありますが、そのための条件や利率が厳しい場合があります。また、買収後の財務負担が重くなり、企業のキャッシュフローが圧迫されるリスクも考慮しなければなりません。適切な資金調達計画を立て、リスクを最小限に抑えることが求められます。

事業継続のリスク

MBIによる経営権の移行は、企業の事業継続にリスクを伴うことがあります。新たな経営者が企業の経営に適応するまでには時間がかかり、その間に事業運営が滞る可能性があります。また、従業員や取引先との関係が変わることで、企業の安定性が揺らぐこともあります。特に、経営者の交代によって企業のビジョンや戦略が大きく変わる場合、従業員のモチベーション低下や離職率の増加につながるリスクがあります。経営者の移行期間中に事業継続のリスクを最小限に抑えるためには、綿密な計画とコミュニケーションが重要です。

成功するMBIの条件

MBIを成功させるには、いくつかの条件が重要になります。

適切な経営者を選定する

MBIの成功には、適切な経営者を選定することが不可欠です。

外部から招聘される経営者は、企業の現状を正確に理解し、必要な変革を実行できるリーダーシップと経験を持つ人物であることが求められます。経営者の選定にあたっては、企業文化との相性や業界知識、過去の実績を慎重に評価することが重要です。

徹底してデューデリジェンスを行う

MBIを実施する前に、対象企業の詳細なデューデリジェンスを行うことが成功の鍵となります。

デューデリジェンスにより、企業の財務状況、事業モデル、競争環境、リスク要因などを徹底的に分析します。これにより、潜在的な課題や機会を把握し、適切な戦略を立てることができます。

ビジョンと戦略を明確にする

新たな経営者は、明確なビジョンと戦略を持って企業をリードする必要があります。経営者は、企業の現状と目指すべき方向性を明確に示し、全社的な目標を設定します。戦略の策定には、市場分析、競争戦略の立案、内部資源の最適化が含まれます。これにより、企業全体が一丸となって目標達成に向けて進むことが可能となります。

綿密にコミュニケーションをとる

MBIの成功には、綿密なコミュニケーションが不可欠です。

外部から参画する経営者は、従業員や取引先との信頼関係を築き、企業内外のステークホルダーと緊密に連携する必要があります。透明性の高いコミュニケーションを通じて、変革の必要性や新しい戦略の意図を共有し、全員が納得して協力する環境を作ることが重要です。

実行に必要な資金を十分に調達する

MBIを成功させるためには、十分な資金調達が必要です。

経営者は、企業買収に必要な資金を確保し、運転資金や成長資金を十分に準備する必要があります。

適切な資金調達計画を立て、ファンドや金融機関からの事前サポートを受けることで、安定した財務状況を担保することが重要です。

まとめ

この記事では、MBIの定義、MBOとの違い、スキーム、メリット、デメリット、成功条件について詳しく解説しました。

MBIは、企業の持続的な成長と安定した経営を実現するための有効な手段です。適切に活用することで、企業は新たな経営体制を構築し、未来の成功に向けて進むことができます。

MBIを検討する際には、ぜひこの記事で解説したポイントを参考に、慎重に準備を進めていきましょう。

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