M&Aによって会社を売却したいとき、少しでも企業価値を高め、「売れる会社」にしたいと思う経営者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では「売れる会社」と「売れない会社」の特徴を詳しく説明します。また、会社を売却する方法や会社売却を成功させるポイントなども併せて紹介します。
この記事の監修者売れる会社はどのような特徴があるのでしょうか。
売れる会社には、以下の8つの特徴があります。
・会社の仕組みがしっかりしている
・事業基盤が安定している
・事業に将来性が期待できる
・買い手企業の事業との相乗効果がある
・買い手企業にはない魅力がある
・社長が信頼できる
・ネガティブな要素が少ない
・売却価格が相場とかけ離れていない
本項では、上記の8つの特徴について詳しく説明します。
売れる会社の条件の一つは、会社の仕組みがしっかりしていることです。
長い時間をかけて構築してきた商流や社内の仕組み、カルチャー、取引先といった会社の仕組みがしっかりとスムーズにまわっていて、今後もしっかりとした仕組みが安定して継続していくと外から見て分かる会社は売却しやすいといえます。
たとえば1年前に作った事業がたまたまバズったとしても、それは「売れる会社」とは言い切れません。今流行りに乗っているから売るというのはM&Aの本質からもずれているといえるでしょう。
会社の売り手が構築してきた仕組みとその構築にかかった長い時間に、買い手がプレミアムをつけて買うことこそが綺麗なM&Aなのです。
事業基盤が安定していることは、売れる会社の重要な条件の一つです。
事業基盤が安定している会社は、
・今後もある程度の売り上げを維持できる
・他の会社と競争することなく顧客から安定して収益を確保できる
・顧客の固定化ができている
として、買い手から投資をしても損する可能性が少ない事業と判断されやすいからです。
たとえばIT系で利用者の一定の売上が見込めるサブスクリプション型の事業をしている会社は、顧客の固定化ができていて、今後の売り上げ増加が予想しやすいため高値で売却されることが多いです。
市場が拡大すると予想され、将来性が期待できるということも売れる会社の条件です。たとえ今売り上げが少なくてもこれから売り上げが拡大すると期待される会社は、将来性があるとして売却されやすい傾向があります。
たとえばシェアリングエコノミーや新しい技術として期待されているAI、ロボット、社会問題となっている高齢化社会や食品ロス削減に取り組んでいる会社などが将来性のある会社の例に挙げられます。
買い手企業の事業との相乗効果がある会社は売れやすいです。
M&Aにおける相乗効果とは、複数の事業が合わさることによって、単独で運営したときよりも企業の価値が何倍にも膨れ上がることをいいます。
経営方針が合致していたり、得意分野で協力し合える企業は、相乗効果を起こしやすく買い手企業の発展に貢献できる可能性が高いため、売却されやすいといえるでしょう。
買い手企業にはない魅力がある企業も売れる会社として見込まれる可能性が高いです。
たとえば、売り手企業に
・買い手企業の商品と相性が良い顧客が多い
・買い手企業にとって価値のあるサービスや技術を提供している取引先がある
・買い手が進出を考えている地域に取引先がある
・買い手が参入しようとしている異業種のノウハウがすでにある
・高い能力や技術力のある従業員がいる
・買い手が取得しにくい特許がある
・買い手にとって魅力的な施設や設備がある
以上のような要素がある場合などは、買収を検討する会社が多いでしょう。これらを一から手に入れようとすると、かなりの時間や費用がかかるため、すでに獲得している会社を買収した方が、効率が良いと考えられるからです。このような買収は、投資リスクはありますが、大きな投資収益を得られる可能性も高いです。
社長が信頼できるということも売れる会社の条件として重要です。会社の価値を見定めていく上で、経営者の信頼性や人間性を見る企業は珍しくありません。たとえ売り上げが十分ある会社だとしても社長が経営状況を把握していなかったり、自己中心的で社員や顧客のことを考えない経営をしていたりする場合は、買い手企業から敬遠される傾向があります。
ネガティブな要素が少ない会社は売却しやすいです。
ネガティブな要素とは、
・粉飾決済があったり、経理で不正をしている
・未払いの残業代などがある
・都市部から遠い
・借金率が高い
・ワンマン経営をしている
・紛争トラブルがある
・不必要な不動産がある
などが挙げられます。
このようなネガティブな要素がないということが会社を買収する動機になることもあります。
売れる会社の条件として、売却価格が相場とかけ離れていないことも大切です。売れる会社の条件を満たしている会社は、会社のオーナーにとっても自慢の会社といえます。自分の会社を高く評価するあまり相場とかけ離れた売却価格を提示してしまった場合、買い手が現れなくなるおそれがあります。
会社を売却するときは相場観を確認するため、専門家に相談することがおすすめです。適切な価格で取引することによって、売り手にも買い手にも望む結果が得やすくなります。
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売れる会社になるためには売れない会社の特徴を確認し、それを避けることも大切です。本項では、売れない会社の特徴として挙げられる
・利益が少ない
・経理が適正ではない
・経営者への依存度が高い
・事業構造に問題がある
・法的な問題を抱えている
以上の5つを説明します。
利益が少ない、赤字が続いている、売り上げが縮小傾向にあるなどの会社は、将来性がないということで売れない傾向があります。
ただし、前述のとおり利益が少なくても将来性があると見込まれる会社はM&Aが成功する可能性が高いといえます。また、赤字が続いている会社でも累積赤字を利用して、節税ができる場合などは買収されやすいです。
現在、国が事業継承を後押ししていて、経営改新の取り組みに必要な補助金が出る場合もあり、事業継承を条件に金融機関が追加融資などに応じることもあります。利益が少ないからといってM&Aを諦めず、将来性を確保するため経営の活性化を図りましょう。
不正経理や簿外債務などがあり、経理が適正ではない会社は売れない会社と見なされます。経理が適正ではないとM&Aにおいての適切な情報が提供できなくなるため、たとえ業績が良くても買い手企業から信頼ができない会社として判断されてしまうことになります。
会社の売却を考える際は、まず経理を適正なものにするよう心がけましょう。
経営者への依存度が高い会社は、売却が難しくなります。事業規模が小さかったり、経営者の能力や人柄で成り立っていたりする会社は、経営者がいなければ、売り上げが落ちるリスクがあります。また、ワンマン経営は社員に事業のノウハウが伝達されていないため、経営者が交代すると事業がスムーズに進まない恐れがあり、買い手企業から敬遠されやすいです。
経営者への依存度が高い会社が会社売却を考える際は、組織体制を見直すことから始めましょう。経営者がいなくても事業がスムーズに回る体勢を作っていくことが大切です。
事業構造に問題があることも売れにくい会社の特徴の一つです。
前述のとおり、ワンマン経営で社員に事業のノウハウが伝達されていない場合も事業構造に問題がある例として挙げられますが、経営者が情報を隠すなど信頼性がない場合や、下請け専門で事業にこれといった特徴がない場合も事業構造に問題があるといえます。
会社売却を始める前にこのような事業構造を見直す必要があることを頭に入れておきましょう。
会社が法的な問題を抱えていることは、会社が売却しづらい原因につながります。
たとえば、
・過去に違法・不正行為がある
・株式総会や取締役会の過去の記録がない
・株式の所在がはっきりとしない
などの法的な問題を抱えている会社は、安全なM&Aができないということで売れにくいです。
赤字や債務超過の会社は一般的に売却しにくい傾向がありますが、絶対に売却できないということはありません。
赤字であっても以下のような会社は、M&Aが成功しやすいといえます。
・他社にはない特別な技術などの無形財産がある
・将来性が見込める
・買い手が資金を投じれば黒字にできる可能性があると
・特別損失のせいで一時的に赤字になっている
このような要素がある会社は、たとえ赤字であってもM&Aをあきらめる必要はないでしょう。
会社を売却する際によく用いられるスキームや、注意点について解説します。
中小企業のM&Aでは、株式譲渡で会社を売却する方法が一般的です。株式譲渡とは、売り手企業の株主が保有する株式を買い手企業に譲渡し、その対価として買い手が代金を支払う手法です。
株式が譲渡されると経営権は買い手側に移ります。しかし、売り手の資産や債務、取引先や社員の雇用などに変化はなく、買い手がそのまま引き継ぎます。
売り手に不良資産などがあり、買い手が債務や債券をそのまま引き継ぐことにリスクを感じる場合は、事業譲渡を選択することもあります。事業譲渡で譲り渡されるのは、事業の一部または全部であり、債務や債権は引き継がれません。
株式譲渡する際には必ず、株式名簿を確認しましょう。経営者は、株主と株式の保有割合をそれぞれ把握しておく必要があるからです。
株主が分散している場合は、売却のために発行済み株式を会社が株主から買い戻したり、株式を買い取りしたりすることによって株式を集約する必要があります。
株式に譲渡制限がある場合(非公開会社)は、株主総会や取締役会の承認を得ないと株式譲渡ができないため注意が必要です。
譲渡制限があるかどうかは、会社の定款などで分かるので確認できます。日本の中小企業のほとんどは、非公開会社になっています。
非公開会社の場合は、会社に譲渡承認請求を行って株式譲渡の承認がされれば株式を譲渡することができます。その後、会社に対して名義書換請求をして株主名簿の書き換えができれば手続き完了です。
会社を売却する際は、買い手を探すことが必要です。
本項では買い手の探し方として、
・M&A専門業者
・M&Aプラットフォーム
の2点について説明します。
<h3>M&A専門業者</h3>
M&A専門業者経由で買い手を探す場合は、M&A専門業者とアドバイザリー契約を結ぶことから始めます。
M&A専門業者には、
・仲介形式
・アドバイザリー形式
以上の2つの形式があります。
仲介形式は、M&A専門業者が売り手と買い手の両方と契約します。幅広い候補の中から買い手企業が探せるメリットがある一方で、利益相反が起こりやすいというデメリットがあります。利益相反は仲介業者がリピーターになりやすい買い手企業の利益を優先することで起こることが多いです。
アドバイザリー形式は、売り手または買い手のどちらかと契約します。契約した側の利益を追求してくれることがメリットですが、売り手と買い手が自分の利益を主張し合い、交渉に時間がかかる場合があることがデメリットとして挙げられます。
M&Aプラットフォームは、売り手と買い手がオンライン上で直接交渉できるサイトです。
M&Aプラットフォームの特徴は、買い手の方が売り手よりも多いことです。また、成約までの時間が短い特徴もあり、登録から約1か月で成約した事例も中にはあります。
M&Aプラットフォームはメリットとして、M&A仲介会社を利用するよりもコストを抑えられることが挙げられます。そのため、中小企業や個人事業主に利用されることが多い傾向があります。
会社売却を成功するためのポイントとして、
・磨き上げを実施する
・魅力をアピールできる企業概要書を作成する
・体力があるうちに売却の準備をする
・業績が良いうちに売却の準備をする
以上の4つの点を説明します。
会社売却を成功させるにはM&Aを始める前の磨き上げの実施が不可欠です。磨き上げとは、会社を最高の状態するために様々な調査を実施し、
・自社の無形財産の明確化や強化
・上層部の権限が過剰な場合は権限の受渡
・職責の明文化
・就業規則などの見直し
・過剰在庫や不要資産の処分
などをすることです。磨き上げをすることで、企業価値を上がりM&Aを成功させやすくなります。
会社の魅力をアピールする企業概要書を作成することも重要です。企業概要書とは、事業内容や財務状況などが記載されているもので、買い手との交渉の決め手になる書類です。
企業概要書には、自社の状況を正確に記載します。磨き上げで強化した会社の魅力をアピールすると買い手の目を引くことができるでしょう。また、買い手にとって読みやすくするために、写真やグラフなどを入れたり、色を使ったりするのも大切です。
企業概要書は一般的にM&A専門業者が作成しますが、正確な情報になっているかや、アピールポイントがずれていないかなどは、必ず自分自身で確認しましょう。
体力があるうちに売却の準備をするのも会社売却を成功させる上で大切です。経営者の体力がなくなってしまったり、亡くなってしまった場合、会社経営自体が滞ることも多く、会社の売却が難しくなることがあります。
体力があり、会社売却にエネルギーを注げるうちに売却の準備をしたほうが、事業や周りの人の混乱を避けながら売却することができるでしょう。
会社売却を成功させるためには、業績の良いうちに売却の準備をすることも重要です。
会社の業績が悪化してくると企業価値は下がります。企業価値が下がってくると、経営者の精神的なストレスが多くなり、中には経営することへの情熱がなくなってしまったり、投資に消極的になったりして、会社を譲渡することができずに借金だけが残ってしまうパターンもめずらしくありません。
業績が良いうちに売却の準備を始めることは簡単ではありませんが、苦労して成長させてきた事業のためにも辞め時を見極める必要があります。
会社売却や事業承継など、M&Aに関するお悩みは、ぜひM&A Leadへご相談ください。
M&A Leadが選ばれる3つの特徴をご紹介します。
M&A Leadが選ばれる3つの特徴
①譲渡が実現するまでは完全無料の「完全成功報酬制」
②圧倒的な買い手様ネットワーク
③経験豊富なアドバイザーによる本質的なご支援
M&A Leadは、譲渡が成立するまで完全無料の「完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
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ご相談は完全無料となりますので、M&Aに関するどのようなお悩みもお気軽にご相談ください。
今回は、売れる会社の特徴や会社を売却する方法、会社売却を成功させるためのポイントなどを説明しました。
自社に売れる会社の特徴がなかったとしても、今後の努力や工夫により将来的に売れる会社にすることは可能です。記事の売れる会社の特徴や売れない会社の特徴を参考にしながら、自社を「売れる会社」にできるよう努力してみてください。
この記事が会社売却の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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