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公開日:2024年9月26日
更新日:2024年9月26日

株式分割とは?増資との違いやメリット・デメリットを解説!実際の事例も紹介

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現在、投資に対する注目度が増していることで、投資家の参加率が高まってきています。こうした背景において、企業では株式分割を行う企業も増えてきています。

株式分割を行うことで、企業と投資家双方にメリットがありますが、既存株主にとってはデメリットがあることや、決められた手続きを行わなければなりません。

本記事では、そもそも株式分割とは何か、またそのメリットやデメリットだけでなく、実際の事例も踏まえて解説していきますので、重要となるポイントをしっかりと理解したうえで、検討を進めていくようにしましょう。

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株式分割とは

株式分割は、企業が既存の株式を細分化し、株式の総数を増やす方法です。この手続きによって企業の総資産や企業価値には影響がないものの、発行済み株式の数が増加するため、1株あたりの価格は低下します。例えば、1株50,000円の株を2つに分割すると、1株の価格は理論的に25,000円となります。このように、株式分割は株価を低下させ、より多くの投資家が株式を購入しやすくなる環境を整えます。

株式分割の主な目的は、株価の引き下げを通じて株式市場における流動性を高めていくことで、より多くの投資家を引き込むことです。これにより、個人投資家の参加が容易になるため、企業の資金調達能力や株式の取引活性化に寄与することとなります。

増資との違い

株式分割と増資は、どちらも企業の株式数を増やす手段ですが、その目的と結果が大きくことなってきます。株式分割は、既存の株式を細かく分けることで株式数を増やし、1株当たりの価格を引き下げるものであり、企業の資本や資金調達には直接関係しません。一方、増資は新しい株式を発行し、投資家から新たな資金を得る手段です。増資によって企業の資本金は増加し、企業は新しい資金をプロジェクトや事業拡大のために活用できます。このように、株式分割が株価調整と流動性向上を目的とするのに対し、増資は資金調達を目的としており、企業の資本構成に直接的な影響を及ぼします。

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株式分割のメリット(企業側)

株式分割により、企業側と投資家側にそれぞれメリットがあります。まずは、企業側のメリットについて、一つひとつポイントを解説していきます。

株式の流動性を向上させられる

株式分割を実施すると、株価が分割の比率に応じて低下し、より多くの投資家にとって購入しやすくなります。これにより、株の流動性が向上し、市場での売買が活発になることで取引量が増加し、企業の株主基盤が広がります。株価が低下し、流動性が増すことで、企業の知名度が高まり、注目度も上昇します。

配当の代替として扱える

株式分割後も1株あたりの配当金額を変更しない場合、株主は分割後の株式数に応じて配当を受け取ることが可能です。これにより、企業は実際の配当金額を増やさなくても、株主に利益を分配することができます。この方法は、株主への利益還元を目指す戦略の一環として採用されることがあります。

株価を安定させられる

株式分割により株価が下がることで、より多くの投資家が株式を保有する可能性が増えます。多数の投資家が株式を保有することで、少数の大株主による売買の影響が薄まることから、結果的に株価の変動要素が抑えられ、株価の安定に繋がります。これにより、企業は株価の過度な変動を防ぎ、安定した株式市場での存在感を維持することができます。

上位市場へ昇格がしやすくなる

株式分割により株主数や流通株式数が増加すると、上場基準を満たしやすくなります。これにより、企業はより上位の市場に昇格するための条件をクリアしやすくなります。上位市場への昇格により、企業のブランド力や信頼性が向上し、さらに多くの投資家の注目を集めることができるようになります。

株式分割のメリット(投資家側)

続いて、投資家側にとってもメリットが複数ありますので、それぞれ確認していきましょう。

株式購入金額が下がる

株式分割の大きなメリットは、1株あたりの価格が下がるため、個人投資家が株を購入しやすくなることです。これにより、資金が少なくても投資することができることから、投資への参加に対するハードルが低くなります。たとえば、1株2万円の株式を1:5で分割すると、1株あたりの価格は4千円になり、より多くの投資家が購入しやすくなります。株式の購入金額が下がることで、投資の門戸が広がり、より多くの人が市場に参加できるようになります。

株式を売買する自由度が高まる

株価売買における自由度が高まることもメリットの一つです。株価が下がることで、投資家は少しだけ買い増ししたり、少し売却するといった柔軟な売買が可能になります。この柔軟性は、ポートフォリオの調整やリスク管理を容易にし、投資戦略の幅を広げます。また、少額での取引が可能になるため、資金を分散して複数の銘柄に投資することができ、リスク分散にもつながります。これにより、投資家は市場の変動に応じて、素早くかつ効率的に対応できるようになります。

配当額が増額する

株式分割によって株数が増加した場合、1株あたりの配当金額が変わらなければ、保有する株数分の配当金が増えます。これにより、投資家は実質的に配当収入を増やすことができます。たとえば、2000株を保有していた投資家が1:5の分割で10000株を保有することになるため、1株あたりの配当金額が維持されるのであれば、配当額も増えることになります。

株式分割のデメリット(企業側)

株式分割をすることで、メリットだけでなくデメリットも生じます。そのため、まずは企業側のデメリットを解説していきますので、必ず確認しておきましょう。

企業の信用を損ねるリスクがある

株式分割は企業の財務基盤の強化に直結しているわけではないため、株式分割を実施することで、短期的な株価上昇を目的としていると市場に認識されると、企業の信頼性が損なわれるリスクがあります。特に、株価が一時的に高騰した後に、急激に下落すると、投資家から企業の長期的な成長性に対して懐疑的な目線を持つ事に繋がる恐れもあるかもしれません。

さらに、投機的目的の投資家が増加することで、株価の乱高下が生じる可能性があるため、企業の信用度を低下させる要因となる場合があります。

株主の管理負担が増える

株式分割によって株式数が増加すると、新たに多くの株主が参入し、企業は株主の管理に多くの時間とコストを割く必要があります。増加した株主に対応するためには、株主名簿の管理、株主総会の運営、配当金の支払いなどの手続きがより複雑になります。また、これらの増加した管理業務には、法的手続きや情報提供の手続きが必要となり、企業にとって負担が増える可能性があるため、株式分割の効果と管理コストのバランスをよく検討したうえで進めていく必要があります。

株式分割のデメリット(投資家側)

続いて、投資家側のデメリットを解説していきます。

単元未満株が生じる

株式分割を行う際、分割比率によっては、単元未満株が発生することがあります。単元未満株とは、通常の取引単位である100株に満たない株式のことです。たとえば、100株保有している投資家が、1:1.5の株式分割を受けると150株を保有することになります。しかし、端数の50株は単元未満株としてみなされ、市場での通常取引では売却することはできません。このような株式を売却したい場合、発行企業に対して買い取りを請求する必要がありますが、この手続きには追加の手数料がかかることもあります。

株価の安定性が失われるリスクがある

株式分割後は投資家が増加し、株式の流動性が高まりますが、その反面、投機的な投資家の参入によって株価のボラティリティが高まるリスクもあります。短期的な売買が活発になると、株価が乱高下し、投資家にとっては安定した投資が難しくなる可能性があります。特に、長期的な投資を考えている投資家にとっては、株価の安定性が失われることは懸念事項となります。そのため、株式分割を行う際には、株価の変動性に注意を払う必要があります。

株式分割の流れ

株式分割は、企業が発行済み株式の数を増やすことで、株式の流動性を向上させることを目的とした重要な手続きです。このプロセスを理解することで、投資家や企業は適切な計画を立てることができます。以下では、株式分割を行うための具体的な手順について説明します。

株主総会の決議を得る

株式分割を実施するためには、取締役会設置会社の場合は取締役会の決議、取締役会非設置会社の場合は株主総会の普通決議を得る必要があります。この決議では、以下の重要な事項が決定されます。

・株式分割の比率と基準日: どの程度の割合で株式が分割されるか、その基準日を設定します。基準日とは、分割前に株式を保有している株主が、分割後の株式を受け取る権利を持つための特定の日です。

・株式分割の効力発生日: 分割が実際に効力を発揮する日を設定します。この日以降、株式は新しい比率で取引されます。

・株式分割する株式の種類: 普通株や優先株など、分割の対象となる株式の種類を明確にします。

また、決議の前に会社の定款に定められている「発行可能株式総数」を確認し、必要に応じて変更することが重要です。株式分割の比率が発行可能株式総数を超える場合、定款の変更が求められます。

株主に公告する

株式分割が決議された後、基準日が設定される前に株主に対して公告を行う必要があります。この公告は、基準日の2週間前までに行われることが法律で義務付けられています(会社法124条)。公告には、基準日や分割の比率、効力発生日などの情報が含まれ、株主が分割後の株式数を理解し、取引計画を立てられるようにします。

株式分割の効力を発生させる

効力発生日を迎えると、分割が正式に実施され、株主には新たに分割された株式が与えられます。この際、1株未満の端数が発生することがありますが、それらはまとめて売却され、その売却代金が株主に分配されます。株主は、この段階で新たな株式の状況を確認し、今後の投資計画を立てることが求められます。

法務局へ申請する

最後に、株式分割を行った場合、法務局での変更登記申請が必要です。この手続きは、株式分割の効力発生日から2週間以内に行わなければなりません。申請は、本店所在地を管轄する法務局で行われ、登録免許税として一律3万円が必要です。法務局での手続きは、企業の法的な義務として、遅滞なく行うことが求められます。

株式分割の事例

株式分割は、多くの企業が採用する戦略の一つです。株価を引き下げることで投資家が購入しやすくなるため、株主数を増やす効果があります。ここでは、実際に株式分割を行った企業の具体例を紹介します。

ライブドアの事例

インターネットサービスを提供していたライブドアは、株式分割によって大きく注目を集めた企業です。積極的に株式分割を実施しておりましたが、2003年12月に行われた100分割は大きな話題となりました。この分割によって10億を超える株式が発行され、流動性が大幅に向上しました。しかし、その後の「ライブドア・ショック」により、市場が混乱し、株価が急落する事態が発生しました。この事例は、株式分割の影響を考慮したリスク管理の重要性を示しています。

トヨタ自動車の事例

トヨタ自動車は、2021年9月に30年ぶりの株式分割を実施しました。この分割は、1株を5株に分けるものでした。分割前は最低でも100万円が必要だったため、個人投資家が購入しにくい状況でしたが、分割後は最低売買単位が約20万円まで下がり、多くの投資家が参入する機会が増えました。トヨタの株式分割は、株価の高騰を抑え、投資家の裾野を広げる戦略的な手段として成功を収めました。

ガンホー・オンライン・エンターテイメントの事例

ガンホーは、スマートフォンゲームの成功を背景に、2013年に株式分割を実施したことで、株価が17円から1,600円にまで成長しました。しかし、その後は株価が下落し、必要投資額の基準を大幅に下回る結果となりました。株式分割により市場価値を高める一方で、株式併合によって株価を調整する必要が生じました。

任天堂の事例

任天堂は、2022年10月に発行済み株式を1株につき10株に分割しました。この分割により、投資単位が約600万円から約60万円に引き下げられ、個人投資家が購入しやすくなりました。株式分割の背景には、株価が高くて投資が難しいという声があり、それに応える形での実施となりました。この取り組みにより、任天堂はより多くの投資家を惹きつけることに成功しています。

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まとめ

本記事では、株式分割の概要やメリットとデメリット、実際の事例などについて解説してきました。

株式分割は、株価を引き下げて流動性を高め、多くの投資家を市場に呼び込む手段ですが、取引活発化や資金調達能力向上がある一方で、株価の変動が激しくなるリスクや管理コストの増加という懸念点があります。

企業はこうしたポイントを考慮したうえで、長期戦略に基づき慎重に判断していくことが必要となってきます。他社の事例も参考にしつつ、自社にあった戦略を立てるようにしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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