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公開日:2024年9月26日
更新日:2024年9月26日

第三者割当増資とは?メリットやデメリット、実際の手続きなどを解説!

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企業の資金調達手段である第三者割当増資は、特定の第三者に株式を発行して資金を得る方法です。資金調達や戦略的提携の強化を目的とすることが多いですが、他の増資方法とはどのように異なるのでしょうか?

本記事では、第三者割当増資の概要、メリット・デメリット、株価への影響を詳しく解説し、企業が増資を検討する際のポイントや実際の流れについて解説していきます。

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第三者割当増資とは

第三者割当増資とは、特定の第三者に新たな株式を有償で発行し、資金を調達する方法です。この第三者は、既存株主に限らず、取引先や役員、あるいは新規の投資家などが含まれます。この方法は、資金調達だけでなく、戦略的な提携や関係強化を目的とすることもありますので、後ほど詳しく解説していきます。

公募増資・株式譲渡との違い

第三者割当増資と公募増資、株式譲渡は異なる資金調達方法です。公募増資とは、新株を発行し、不特定多数の投資家を対象に募集する方法です。公募増資では、多くの資金を調達できる可能性がありますが、株式が予期せぬ手に渡るリスクもあります。経営権の分散が進むこともあるため、慎重な判断が求められます。

株式譲渡は新株を発行せず、既存の株式を第三者に売却する方法です。この方法では、株式の総数や資本金に変動はありませんが、既存株主の持ち株比率が変わることがあります。第三者割当増資のメリットは、対象を特定することで、戦略的な関係強化が図れる点にあります。これにより、経営権を保持しつつ必要な資金を確保することが可能です。

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第三者割当増資の目的

第三者割当増資の主要な目的を3つの観点から詳しく解説します。

資金調達

第三者割当増資の最も一般的な目的は、迅速な資金調達です。企業はこの方法を通じて、必要な資金を短期間で調達し、事業拡大や新規プロジェクトに充当することができます。他の資金調達手法と比べて、第三者割当増資は手続きが簡便であり、迅速な実施が可能です。さらに、資金を返済する義務がないため、企業の財務健全性を維持しつつ、資金を活用することができます。資金調達を目的とする場合、企業は取引先や戦略的パートナーなど、特定の第三者に株式を発行し、安定した資本注入を実現します。

M&A

M&Aのプロセスにおいても、第三者割当増資は効果的な手段となります。特定の企業や投資家に新株を発行することで、資本関係を構築し、買収後のスムーズな統合を促進します。この手法は、事業承継の一環としても利用され、企業が経営権を後継者に移転する際に役立ちます。株式譲渡とは異なり、第三者割当増資は新株の発行によって経営権を移行するため、既存の株式を動かさずに支配権を確保できるのが特徴です。この方法により、経営の安定性を保ちながら、柔軟な資本政策を実現することが可能となります。

他社との関係性強化

第三者割当増資は、戦略的パートナーシップを築くための重要なツールとしても活用されます。特定の取引先やパートナー企業に株式を発行することで、両者の関係を強化し、長期的な協力体制を確立します。この手法は、単なる業務提携を超えて、資本提携を伴う資本業務提携を構築することを可能とします。第三者割当増資を通じて、企業は取引先との信頼関係を深め、共同プロジェクトの成功を目指すことができます。また、双方が株式を持ち合うことで、相互の利益を共有し、協力関係を一層強固なものとすることができます。

買収防衛策

会社の存続にむけて、第三者割当増資を行うことで、敵対的企業の買収を防衛する手段として活用されることがあります。

買収に向けて株式が買われるような場合に、第三者割当増資を行い、買収側の持株比率を低下させ、自社にとってより良いパートナー会社に割り当てるような対抗策として用いられます。

第三者割当増資のメリット

第三者割当増資は、主に6つのメリットが挙げられますので、一つひとつ解説していきます。

迅速に資金を調達することができる

第三者割当増資は、取締役会の決議によって迅速に新株を発行し、資金を調達することができます。公募増資と比較して手続きが少ないため、資金調達までの時間を大幅に短縮することが可能です。このスピード感は、急な資金需要に対応する際や、競争環境での迅速な事業拡大において特に有効です。

引受先と強い関係性を構築できる

第三者割当増資では、取引先や戦略的パートナーに新株を引き受けてもらうことで、両者の関係を強化することができます。株式を持つことで、引受先は企業の成長に直接関与することになり、ビジネスパートナーシップがより強固なものとなります。これにより、長期的な協力体制を構築することができ、企業の安定的な成長を支える基盤を築くことが可能です。

調達資金の返済義務がない

第三者割当増資を通じて調達した資金は、借入金と異なり返済義務がありません。このため、企業は資金を自己資本として活用でき、財務の健全性を維持しながら事業拡大や投資に資金を使うことができます。返済義務がないことは、キャッシュフローの管理においても有利であり、企業の資金繰りに余裕をもたらします。

課税の対象とならない

第三者割当増資は新株発行による資金調達であり、株式譲渡が行われないため、通常は法人税や消費税が発生しません。この非課税の性質は、企業にとって経済的負担を軽減し、資金調達の効率性を高める要因となります。税金を気にせずに資金を調達できる点は、企業の財務戦略において大きなメリットです。

手続きが容易

第三者割当増資の手続きは、株主総会の特別決議を必要とせず、取締役会の決議のみで進めることができます。これにより、増資手続きが簡単になり、時間と労力を節約できます。特に公開会社では、決議後の公告や通知を通じて迅速に手続きを完了できるため、資金調達のスピードが求められる場面で有利です。

株式付与の相手企業を選定をすることができる

第三者割当増資では、企業が株式を付与する相手を自由に選定できます。この柔軟性は、経営戦略に沿った最適な資本構成を実現するために重要です。例えば、戦略的な提携先や経営支援を期待する投資家に株式を発行することで、企業の競争力を高めることが可能です。また、意図しない株主が経営に影響を及ぼすリスクを回避することもできます。

第三者割当増資のデメリット

第三者割当増資は企業にとって有効な資金調達手段でありながら、いくつかのデメリットも存在します。以下では、第三者割当増資に伴う主なデメリットを詳しく解説します。

既存株主の株式保有割合が低下する

第三者割当増資を行うと、新たに株式が発行されるため、既存の株主の持ち株比率が希薄化します。この希薄化は、既存株主にとっては影響力の低下を意味し、特に大規模な増資が行われた場合には、一株あたりの利益が減少する可能性があります。これにより、既存株主の利益が損なわれることがあり、企業に対する信頼が揺らぐことも考えられます。

税負担が増える可能性がある

メリットで解説した通り、第三者割当増資そのものは直接的な税負担を伴いません。しかし、資本金が増加することで法人住民税の均等割が増える可能性があります。例えば、資本金が一定の額を超えると、税率が上がる地域もあります。また、資本金の増加により中小企業向けの税制優遇措置が適用されなくなることも考えられ、長期的な税負担の増加につながる可能性があります。

引受先は株式を100%獲得することはできない

第三者割当増資では、新規に発行される株式を第三者が引き受けますが、既存の株主の株式はそのまま残ります。そのため、引受先が会社の100%の株式を取得することはできません。これは、特に事業承継や完全買収を目的とする場合には、デメリットとなることがあります。完全な経営権を持ちたい引受先にとっては、別の手法を組み合わせる必要が出てくるでしょう。

変更登記が必要となる

第三者割当増資を行うと、資本金や発行済株式数に変更が生じるため、法務局にて変更登記を行う必要があります。この手続きは、法的に義務付けられており、増資実施後2週間以内に行わなければなりません。登記に必要な書類の準備や手続き自体に手間と時間がかかるため、増資計画を進める際にはこれらの手続きも考慮に入れる必要があります。

第三者割当増資の手続きの流れ

第三者割当増資の手続きを行う際には、大きく6つのステップがありますので、その手続きの流れを解説していきます。

募集事項を確定

最初のステップは、第三者割当増資に関する募集事項を確定することです。具体的には、取締役会または株主総会の特別決議で以下の項目を決定します。

・募集する株式の数
・株式の払込金額とその算出方法
・金銭以外の財産を出資の目的とする場合の内容および価額
・払込期間や払込期日
・増加する資本金および資本準備金の額
・有利発行の場合には、株主の保護を目的として、株主総会での特別決議が必要です。

株主に通知または通告

次に、決定した募集事項を株主に通知または公告します。これは、払込期日の2週間前までに行う必要があります。既存株主に対しては、増資による影響を理解し、異議を申し立てる機会を提供するためです。

引き受け希望者に連絡・通知

株主への通知・公告が完了した後は、引き受け希望者に対して詳細を通知します。この通知には以下の情報が含まれます。

・会社の商号
・募集事項の詳細
・払込みの取扱い場所
・発行可能な株式総数

これにより、引き受けを希望する者が具体的な内容を確認し、申し込む準備を整えることができます。

割り当て先の決定と通知

次に、引受希望者の中から割り当てを受ける者を決定し、取締役会決議によりその決定を行います。このプロセスでは、各申込者に対して割り当てられる株式の数を決定し、通知を行います。これにより、各引受希望者は割り当てられた株式数を確認することができます。

引受人による払い込み

割当先が決定されたら、次は資金の払い込みを行います。株式の引受人は、払込期日までに指定された金融機関において、新株の払込金額を全額払い込みます。払込期日までに払い込みが行われない場合、その引受権は無効となります。

増資に係わる登記手続き

最後に、払い込みが完了した後、法務局にて増資に関する登記手続きを行います。登記の手続きは、効力発生日から2週間以内に行わなければなりません。これには、必要書類の提出と登記免許税の支払いが含まれます。

第三者割当増資を行う場合の株価決定方法

第三者割当増資における株価決定には、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチの3つの手法が用いられますので、それぞれについて詳しく解説していきます。

マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチは、市場の株価を基準に企業の株価を評価する方法です。類似する企業や同業他社の株価や財務データを参照して、株価を決定します。このアプローチの強みは、市場に基づく客観的なデータを利用するため、評価の公平性が保たれることです。また、株式市場の動向を反映するため、現状の市場環境に適した価格を算出しやすいと言えます。

しかしながら、この手法は、上場企業でない場合や、類似する企業が少ない場合には、適正な株価の設定が難しくなることがあります。また、市場の変動に影響を受けやすいため、短期的な市場の乱高下による影響を考慮する必要があります。

インカムアプローチ

インカム・アプローチは、企業が将来的に生み出すと予想される利益やキャッシュフローを基に株価を評価する手法です。DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)や配当還元法などを活用して、企業の将来の収益性を評価します。この手法は、企業の成長見込みを重視し、将来性のある企業に適した評価方法です。

しかし、インカム・アプローチは企業の事業計画に基づく評価となるため、主観的な要素が含まれるリスクがあります。特に楽観的な収益予測が行われた場合、実際の価値から乖離する可能性があるため、評価の際には慎重な検討が必要です。

コスト・アプローチ

コスト・アプローチは、企業の保有資産と負債を基に株価を算出する手法です。簿価純資産法や時価純資産法が用いられ、純資産の額を評価の基準とします。この手法のメリットは、明確な数値に基づくため、客観性が高く評価が容易であることです。

一方で、コスト・アプローチは過去の資産を基に評価するため、企業の将来の収益力や成長性が反映されないという欠点があります。また、無形資産や知的財産が考慮されないため、実際の価値が十分に評価されない可能性もあります。そのため、この手法は、特に企業の過去の財務状況を重視する場合に適しています。

第三者割当増資が株価に与える影響

第三者割当増資は企業の資金調達手段として重要ですが、その影響は株価に反映されます。この増資が市場にどのような影響を及ぼすかは、増資の目的や市場の受け止め方によって異なります。以下に、株価が上昇する場合と下落する場合の要因を詳しく説明します。

株価を上昇させるケース

①成長の期待
増資によって得た資金が新規事業や既存事業の拡大に使われる場合、企業の収益性が高まると市場が判断します。成長が見込まれる企業は将来の業績向上に期待が持てるため、株価が上昇することがあります。

②戦略的パートナーシップの強化
増資を引き受ける企業とのシナジー効果が期待できる場合、企業の競争力が向上し、業績が改善すると考えられます。これにより、投資家の期待が高まり、株価にプラスの影響を与えることがあります。

③経営不安の解消
財務改善により上場廃止のリスクが解消されると、市場は企業の安定性を高く評価します。この結果、株価が上昇に転じることがあります。

④革新的プロジェクトへの投資
革新的な技術やプロジェクトへの資金投入が増加することで、将来的な収益が見込まれ、株価が上昇する可能性があります。

株価を下落させるケース

①株式の希薄化
増資により発行株式数が増えると、既存株主の一株当たりの利益が薄まり、投資家の利益が減少します。このため、既存株主が株式を売却し、株価が下落する可能性があります。

②ネガティブな増資目的
増資の目的が純資産の改善や財務の緊急テコ入れである場合、市場は企業の財務状況に懸念を抱きます。特に、資金調達が赤字補填に使われる場合、投資家の信頼を失い、株価が下がることがあります。

③市場の不信感
増資の意図や計画が不明瞭である場合、投資家の不安を招き、株価の下落を引き起こす可能性があります。

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まとめ

本記事では、第三者割当増資の概要、メリット・デメリット、手続き方法、株価への影響について解説しました。

第三者割当増資は、迅速な資金調達や戦略的パートナーシップの構築が可能である一方、既存株主の持ち株比率が希薄化するリスクも伴います。増資を検討している企業は、資金調達の目的を明確にし、投資家や株主に対する説明責任を果たすことが重要です。

メリットを最大限に活かしつつ、デメリットを十分に考慮した上で、最適な資本戦略を策定することが成功の鍵となってきますので、本記事で解説した内容を確認したうえで、検討を進めていくようにしましょう。

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