企業が事業を行うためには資金が必要不可欠です。そのため、資金調達が企業の命運を握っているといっても過言ではないでしょう。しかし、一言で資金調達といっても方法は様々で、企業の規模や状況によって最適な方法も違います。自社にとって最適な方法を見つけるためには、まず資金調達について知る必要があります。
今回の記事では、資金調達の種類、それぞれのメリット・デメリット、融資との違いやおすすめの資金調達方法について解説します。
この記事の監修者目次
資金調達とは、企業が事業活動を行うために、必要な資金を外部から確保するプロセスです。資金調達は、企業の創業時だけでなく、運転資金の確保、新規事業の立ち上げ、設備投資、あるいは企業買収など、さまざまな場面で必要になります。資金は企業経営の要になるもので、資金調達は経営者にとって避けて通れない重要な課題です。
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資金調達は企業の事業活動を円滑にし、事業を存続・発展させていくために行われます。具体的には、企業の運転資金の確保や、新規事業の立ち上げ、設備投資、企業買収など多岐にわたる場面で資金が必要になります。資金調達を行うことで、人や財産を増やすことができ、経営の安定と成長を図ることが可能です。さらに、資金調達を適切に行うことで、資金ショートのリスクを回避し、企業が健全に運営されることにもつながります。
融資も資金を融通するという広い意味でとれば資金調達の一種になります。
資金調達と融資の違いは、主に資金を「株式資本」として調達するか、「借入」として調達するかにあります。資金調達は企業が株式の発行などを通じて外部から資金を集めるため、資金は企業の内部に留まり、外部への弁済義務が発生しません。一方、融資は金融機関や投資家から資金を借り入れることであり、借入金は将来的に金利を付けて返済する必要があります。
資金が必要な場合には、それぞれの特性を理解し、事業の性質や将来計画に合わせて最も適した資金調達方法を選ぶことが重要です。
今回の記事では、融資についても資金調達の一部として解説します。
資金調達の方法は、
①デットファイナンス
②エクイティファイナンス
③アセットファイナンス
大きく分けて3種類に分けられます。以下で詳しく解説します。
デットファイナンスとは、借入によって企業が資金調達する方法です。金融機関からの融資を受けたり、社債を発行したりすることなどがデットファイナンスに含まれます。また、買掛金や支払手形といった仕入債務を利用して負債を増やすことも方法の一つです。
デットファイナンスは金融機関からの融資やビジネスローン、社債など調達先が豊富であるため、比較的簡単に資金を調達することが可能です。
さらに、デットファイナンスには「レバレッジ効果」というメリットがあります。レバレッジ効果とは、比較的少ない自己資本から大きな投資を行い、それによって得られる収益が自己資本に対するリターンを高める効果を指します。たとえば、自己資本が限られている状況でも、外部融資により大規模なプロジェクトに投資することが可能となり、プロジェクトが成功すれば、企業の成長を加速させることが可能です。
また、デットファイナンスによる利息支払いは税務上の損金処理が可能であり、税負担を軽減する節税効果が期待できます。
デットファイナンスのデメリットについて解説します。まず、返済義務が最大の負担となります。企業がどんな経営状況にあっても、借入れた元本と利息は期限内に返さなければなりません。経営が厳しい時でも返済を続けなければならないため、資金繰りが困難になることがあります。
次に、デットファイナンスを利用する際は、多くの場合、担保や保証人が必要です。そのため、関連する第三者にも経済的な負担やリスクが及ぶことがあります。
さらに、借入れによる資金調達は企業のキャッシュフローを長期にわたって圧迫します。借入金は将来の収入から返済されるため、手元に残る資金が少なくなり、他の事業機会への投資が制限される可能性があります。
デットファイナンスには、
①公的機関からの融資
②民間金融機関からの融資
③ビジネスローン
④社債
以上の4種類があります。
公的機関からの融資とは、国や地方公共団体、政府系金融機関が提供する資金調達方法です。例えば、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などがあり、創業者向けの融資プログラムを提供しています。公的機関からの融資は通常、民間の金融機関よりも低利で提供されるため、新しい事業を始める方やスタートアップ企業にとって魅力的です。
また、地方公共団体が提供する融資もあり、各都道府県や市区町村によって異なりますが、地域経済の活性化を目的とした低利の融資が多いです。
民間金融機関からの融資は、デットファイナンスにおいて最も一般的な資金調達手段の一つです。
銀行からの融資を受けるには、プロパー融資として知られる一連のプロセスを経る必要があります。個人または法人が銀行に融資を申し込み、銀行が設定した審査基準に基づき審査が行われます。審査に通れば、融資が実行され、金額や返済期間は銀行によって決定されます。
スタートアップなどの実績の乏しい企業にとって、大手銀行からの融資は難しい場合がありますが、地方銀行や信用金庫などは比較的対応が柔軟であることが多いです。
プロパー融資を受けるのが難しい場合は、「制度融資」と呼ばれる信用保証協会の保証付き融資を利用することも一つの方法です。制度融資では、信用保証協会が返済を保証し、企業が倒産等で返済不能になった場合に保証協会が金融機関に代わって一定の負担を果たします。
しかし、制度融資には審査期間が長くなる、あるいは自己資金の一定割合が要求されるなどのハードルがあります。また、保証料として追加の費用が発生することも考慮が必要です。
ビジネスローンは、主に中小企業や個人事業主を対象とした事業資金の無担保融資です。商工ローンや事業ローンとも呼ばれ、銀行融資や政府系融資が困難な事業者に利用されることが多いです。ビジネスローンの大きな特徴は、多くの場合、担保や保証人が不要であることです。
一般的な融資と比較して、ビジネスローンは審査が迅速であるため、緊急の資金調達に適しています。消費者金融や信販会社が提供するケースもあり、数日から1週間程度で資金を手にすることも可能です。
ただし、ビジネスローンの金利は通常、銀行融資よりも高く設定されています。平均的に15%前後の金利が適用されるため、返済の負担が大きくなる点に注意が必要です。
社債は企業が資金を調達するために発行する債券です。社債は、企業が市場から直接資本を集める方法で、特に大企業や信用力のある企業がよく利用します。
社債には主に二つの形式があります。一つは公募債で、証券会社を通じて広く一般の投資家から資金を募ります。公募債は発行に際して手続きが複雑で時間がかかりますが、資金調達額が大きいのが特徴です。もう一つは私募債で、こちらは特定の少数投資家を対象に直接資金を募ります。私募債は手続きが比較的簡単で、迅速に資金を調達できるメリットがありますが、調達できる金額は限られています。
社債の金利は一般的に企業の信用評価に基づいて設定され、リスクを評価する重要な要素となります。社債は配当を支払わないため、利益が上がった場合でも利息支払い以外の負担は増えません。しかし、発行企業は債券の満期時に全額を償還しなければならない点に注意が必要です。
エクイティファイナンスは、企業が株式を用いて資金を調達する手法です。エクイティファイナンスでは、企業は出資者に対して株式を交付し、その対価として資金を調達します。
エクイティファイナンスは、企業が株式を発行して資金を調達する手法であり、返済義務がありません。資金を借り入れる際に必要な金利や元本の返済負担がなく、特に資金繰りに余裕のない中小企業やベンチャー企業にとって大きなメリットになります。また、株式発行を通じて資本を増やすことができるため、自己資本比率が向上し、企業の財務基盤の安定にもつながります。
さらに、投資家やベンチャーキャピタルからの直接的な投資を受けることで経営に関するアドバイスをもらえるようになります。アドバイス以外にも、投資家や起業家を紹介してもらえるなど、人脈を拡大するチャンスが得られることもあります。
エクイティファイナンスには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。株式の発行による資金調達は、株主の持ち株比率によっては経営権が弱まることがあります。新たな株主は経営に対して一定の発言力を持つため、経営方針に対する意見の相違が生じることも考えられます。
また、デットファイナンスに比べてエクイティファイナンスの方が、高いリターンを期待されるため、短期間で大きな成果を求められることになります。
エクイティファイナンスでの資金調達は、下記2つの方法があります。
①第三者割当増資
②公募増資
下記でそれぞれ解説します。
第三者割当増資は、会社の評価額を決めて、そのうえで全体の評価額に対して一定の割合の株式を発行して、特定の第三者に売却することで資金を調達する方法です。
出資のために株式を放出しすぎると経営に支障が出るため、経営上適切な放出割合になるようにしつつ、投資価値がある評価額を設定する必要があります。そのため、第三者割当増資は経営者のファイナンスのセンスが問われる資金調達方法です。
第三者割当増資の主な資金提供者にはベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などがあります。
公募増資とは、上場企業が新たに株式を発行し、広く一般の投資家を対象に出資を募る資金調達方法です。主に、多額の資金が必要なプロジェクトや拡大戦略のために用いられます。
公募増資は、第三者割当増資と異なり、不特定多数の投資家から資金を集める点が特徴です。そのため、企業は必要な資金を比較的短時間で調達することができ、企業の成長や拡大のための投資に活用できます。
しかし、公募増資のデメリットも存在します。新たな株式の発行は株価の希薄化を引き起こし、既存株主の持株比率が低下します。また、新しい株主が増えることで、配当金総額も増加するため、企業の負担が大きくなる可能性があります。
エクイティファイナンスにおける投資家には以下の2種類があります。
①ベンチャーキャピタル
②エンジェル投資家
下記でそれぞれ解説します。
ベンチャーキャピタル(VC)は、未上場のベンチャー企業への出資を主な活動とする投資会社です。投資先の株式を取得して、企業の上場(IPO)や他社による買収(M&A)を通じて資金を回収し利益を得ます。
ベンチャーキャピタルによる投資は特にスタートアップや成長途上のベンチャー企業に適しており、大量の資金が必要な場合に有効です。ベンチャーキャピタルからの資金調達には、単なる資金提供にとどまらず、経営面でのアドバイスや業界の専門知識、さらにはビジネス拡大に必要なネットワークの提供も含まれることが多いです。
エンジェル投資家は、成長が見込まれる新興企業やスタートアップに資金を提供する個人投資家です。エンジェル投資家は、自身の事業経験やネットワークを活かして、資金だけでなく経営アドバイスや業界の洞察も提供します。
エンジェル投資家からの資金調達は、迅速に行われることが多く、特に初期段階での大規模な資金調達が困難なスタートアップにとって、有効な選択肢の一つです。
ただし、エンジェル投資家はあくまで個人投資家のため、出資額が少ないことが多いです。そのため、数億円規模の資金が必要な場合、複数のエンジェル投資家からの出資を求めたり、他の資金調達方法を併用する必要があります。
アセットファイナンスは、企業が保有する不要な資産を売却し、その資金を新たな資金調達源とする手法です。
アセットファイナンスの主なメリットは、迅速かつ効率的な資金調達が可能である点です。企業が既に保有している資産を売却することによって資金を調達するため、資産があればその価値に基づいて速やかに現金化が可能です。緊急に資金が必要な場合、アセットファイナンスは特に有効な方法となります。
また、アセットファイナンスを利用することで、企業は負債を増やすことなく資金を調達できます。自己資本比率の低下を防ぎながら、バランスシートの健全化につながります。売却された資産に対して現預金が増えるため、純資本利益率(ROA)が向上し、企業の財務状態が改善します。
さらに、アセットファイナンスは、返済義務がないため、毎月のキャッシュフローに負担をかけることがありません。
アセットファイナンスのデメリットは、資金調達に所有する資産が必要とされることです。資産を持っていなければ、アセットファイナンスは利用できませんし、持っている資産が十分な価値を持たない場合も資金調達が難しくなります。
さらに、資産を売却することにより、企業は将来的な収益を生み出す機会を失うことがあります。資産の売却は一時的な資金調達にはなりますが、それが収益を生む事業部門だった場合、長期的な収益機会を失うことになりかねません。
また、企業が資産を売却すると、外部から見た時にその企業の財務状況が悪化していると判断されるリスクもあります。
場合によっては、資産が市場価値以下で売却されることもあります。急いで資金を調達する必要がある場合、企業は不利な条件で資産を売却することを余儀なくされることがあります。
アセットファイナンスの方法には主に
①保有資産の売却
②ファクタリング
③リースバック
以上の3つがあります。
企業が保有している不要な保有資産を市場に売り出し、資金を調達します。特に活用されていない不動産や車両、さらには特許権や商標権といった無形の資産を対象に行われます。
保有コストや管理費用を削減できますが、売却した資産に依存していた業務がある場合、代わりの場所や設備を購入またはレンタルする必要が生じる可能性があります。
ファクタリングは、売掛債権を早期に現金化するために、ファクタリング会社に買い取ってもらう資金調達方法です。特に資金繰りに問題を抱える企業にとって有用で、売掛金の支払いを待つことなく即座に現金を得ることが可能です。
通常、売掛金は支払期日まで現金化できませんが、ファクタリングを利用することで早期に現金化できます。企業は資金サイクルを速め、運転資金の不足を解消できるため、突然の資金需要にも柔軟に対応可能です。
ファクタリングのメリットは、迅速な資金調達が可能であること、また売掛金の支払いが完了するまでの間、企業の財務負担を軽減できる点にあります。しかし、利用できる金額が売掛金に依存する点と、ファクタリングの手数料が比較的高めであることがデメリットとして挙げられます。
リースバックは、企業が自己所有の不動産を売却し、同時にそれをリースすることで資金を調達し、引き続きその不動産を使用できるようにする手法です。
具体的には、企業が所有するオフィスビルや工場、自宅などの不動産を売却し、その直後にリース契約を結びます。売却から得た資金で即座にキャッシュフローを改善することができ、継続して施設を使用することが可能です。
リースバックのメリットは、大きな一時金を得られること、そして固定資産税などの維持費用を削減できることです。しかし、月々のリース料を支払う必要があるというデメリットがあります。
その他の資金調達方法には、
①自己資金
②補助金・助成金
③クラウドファンディング
以上の3つがあります。
自己資金とは、起業家自身が個人の貯蓄や資産を投じて事業を資金調達する方法です。金融機関からの借入れや他者からの資金調達と異なり、返済義務や利息の負担がないため、企業の自由度が高まります。
一方で、自己資金のみでは、限られた資金で事業を行う必要があり、資金の規模が事業の拡大を制限する可能性があります。また、事業が失敗した場合には個人の資産に直接影響が出るため、リスクも大きくなります。
補助金と助成金は、国や地方公共団体、さまざまな組織から提供される返済不要の資金支援です。主に、事業者や個人事業主が特定の条件を満たす場合に利用可能で、事業の資金援助を目的としています。
補助金や助成金の最大のメリットは、返済義務がないことです。資金を受け取った事業者は、資金繰りの改善や事業拡大に直接投資することができます。特に新規事業やスタートアップにとって、資金調達のハードルを下げることができるため、魅力的な資金調達方法です。
一方で、補助金や助成金のデメリットとしては、申請プロセスが複雑で時間がかかることが挙げられます。また、利用できる資金は限られており、一時的なものであるため、持続的な資金調達手段としては不十分な場合があります。さらに、公開されている補助金や助成金の情報を定期的にチェックし、適切なタイミングで申請することが必要です。
クラウドファンディングは、インターネットを活用して不特定多数の人々から小額の資金を募る方法です。支援者には、事業成功の場合の製品やサービスなどのリターン(返礼品)が提供されることが一般的です。
クラウドファンディングのメリットは、資金調達を行いながら同時にプロモーション効果も期待できることです。また、資金を提供する人々がプロジェクトに直接関与するため、市場のニーズを反映させやすいというメリットがあります。
ただし、デメリットとしては、目標金額に達しない場合に資金を得ることができないリスクがあります。また、クラウドファンディングのプラットフォームや条件によっては、手数料が高額になることや、プロジェクトの性質によっては支援を集めにくい場合があることも注意が必要です。
M&Aと資金調達の双方を上手く組み合わせることで、より効果的な企業の成長拡大を実現できます。
①M&Aに必要な資金を確保するために資金調達するケース
②M&Aによって資金調達するケース
ここでは以上の2つのケースについて解説します。
M&Aを通じて、企業は市場シェアの拡大、新市場への進出、技術や重要な人材の確保といった様々な利益をもたらしますが、実行のためには大規模な資金調達が必要になるケースが多いです。資金調達を行えばM&Aによってさらなる事業の拡大につながります。
M&Aは資金調達手段としても機能することがあります。革新的な技術などの強みを持ちながらも成長が停滞している中小企業が一部の事業を売却するケースが挙げられます。M&Aを通じて、中小企業は新しい資本を得ることができ、事業の拡大とスピードアップを図ることが期待できます。
おすすめの資金調達法を、中小企業とスタートアップ・ベンチャー企業の企業規模にわけて解説します。
中小企業にとって、資金調達の選択肢は多岐にわたりますが、日本政策金融公庫からの融資がおすすめです。日本政策金融公庫からの融資は低金利で長期の返済期間が設定されており、安定した経営を支える重要な要素となります。また、比較的審査が容易で迅速に資金を得られるビジネスローンも、小規模の資金が必要な際に適しています。
一方、成長可能性が高い中小企業の場合、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資も選択肢の一つになります。ただし、投資家からの関心を引くためには、自社のビジネスモデルや魅力を効果的にアピールし、知名度を高めることが不可欠です。
スタートアップやベンチャー企業にはベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資がおすすめの資金調達方法です。 ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資を受けることで、資金以外にも事業戦略や経営ノウハウの提供が得られる可能性があります。ただし、出資を受けるためには、企業の事業計画や将来性が明確に伝えられる必要があります。そのため、事業プランの具体性や魅力を高め、投資家を引きつけるための努力が不可欠です。
他にも、日本政策金融公庫のような公的機関からの融資も、新規事業や国の発展に貢献する事業計画がある場合には利用しやすいです。これらの方法は、新しいアイデアや技術を持つ企業が、成長段階で必要とする資金を効率的に確保するのに役立ちます。
タイミング別のおすすめの資金調達法についても、
①起業時の資金調達
②事業拡大時の資金調達
③業績悪化時の資金調達
④M&A時の資金調達
以上の4つについて解説します。
起業初期の資金調達は自己資金が基本ですが、追加の支援が必要な場合、最初に考えるべきは日本政策金融公庫からの融資です。新規事業者向けの低利融資プランが多く、特に創業初期の企業にはアクセスしやすい資金源となります。また、国が支援する公庫を利用することで信用度も高まります。
次に、補助金や助成金を活用することも考えられます。補助金や助成金は返済の必要がなく、特定の条件をクリアすることで受け取ることができる点で優秀です。
また、製品やサービスが具体的に形になっている場合は、クラウドファンディングを利用して資金を集めることもできます。支援者からの資金提供を受け、それと引き換えに製品やサービスを提供することで資金調達が行えます。
事業が軌道に乗り始めると、成長を加速させるための資金調達が必要になります。この段階では、企業の信用も高まり、融資や出資を受けやすくなっています。特に事業が順調であれば、迅速に大量の資金を集めることで、さらなる拡大を図ることが可能です。
ベンチャーキャピタルからの出資は、数千万円から数億円の資金調達が可能で、返済の必要がないため、すべての資金を成長に向けて再投資できます。大規模な資金調達が成功すると、企業の社会的信用も向上し、より容易に銀行融資を受けることができるようになります。
しかし、ベンチャーキャピタルからの資金は、投資家へのリターンが必要であるため、事業が成功していないと投資資金を回収することが困難になります。また、経営への介入や、上場や売却を目指す圧力も伴うため、注意が必要です。
一方、民間銀行からの融資は、事業の自由度を保ちつつ資金を調達する方法として優れています。事業が成長し、売上や利益が伸びると、銀行からの信用も高まり、融資が受けやすくなります。ただし、融資は原則として返済と利息の支払いが必要であり、手元の資金を圧迫する可能性があるため、計画的に利用することが大切です。
日本政策金融公庫からの借入れも、特定の業種に特化した融資プログラムを利用できるため、企業のニーズに合わせて資金を確保することが可能です。
業績悪化時の資金調達には日本政策金融公庫からの借入れ、政府や自治体からの補助金・助成金、そしてアセットファイナンスが主要な方法として挙げられます。
日本政策金融公庫は、事業再建や一時的な経営悪化に対応する特定の融資商品を提供しています。経営が危ういときでも安定した資金源を確保することが可能です。しかし、事業の存続が危機的な状況にあるときに通常の融資を受けられないこともあるため、補助金や助成金も活用することも考えましょう。
補助金や助成金は、赤字の状態でも申請が可能であり、特定の条件を満たすことで受給できる可能性があります。たとえば、IT導入補助金は、導入する技術が生産性を向上させる可能性がある場合に支給されます。
また、アセットファイナンスを利用して資金を調達する手段もあります。企業が持つ資産を活用することで、即座に必要な資金を確保することが可能です。特に、ファクタリングは売掛金を速やかに現金化できるため、緊急の資金需要に対応するのに適しています。
M&A時の資金調達では、必要とされる大規模な資金を効率的に集める方法が必要になります。主に、公募増資や金融機関からの融資が有効であり、特に上場企業にとっては公募増資が多額の資金を集めるのに適しています。公募増資を通じて、広範囲の投資家から資金を調達することが可能です。
また、日本政策金融公庫の事業承継・集約・活性化支援資金もM&Aを目的とした資金調達に利用できる重要な手段です。この融資は、事業の譲渡や株式の譲渡、合併などを目的としているため、M&Aの際に適切な資金調達を行うのに役立ちます。
レバレッジド・バイアウト(LBO)もM&Aにおいて効果的な資金調達方法の一つです。LBOでは、譲受企業が譲渡する企業の資産や将来のキャッシュフローを担保にして資金を調達することができ、自己資金が限られている場合でも必要な資金を確保することが可能です。
資金調達を行う際は、
①資金調達の金額や目的を明確化する
②信頼確保のために事業計画や将来性を示す
③資金調達時のコストに注意する
④返済が困難にならないよう注意する
⑤株式の希薄化に注意する
⑥キャッシュフローへの影響に注意する
以上の6つのポイントを意識しましょう。
資金調達を行う際には、「何のために」「いくらの金額を」必要としているのか、金額や目的を明確化することが重要です。特に資金の使用目的を明らかにすることは、資金調達の過程で非常に重要です。
例えば人材確保や設備投資のための資金調達なら、本当にその投資が必要なのか、具体的にどのような計算で必要になっているのか理由をはっきりさせることが必要です。
資金調達を成功させるためには、事業計画の明確化と将来性の示し方が鍵を握ります。信頼性と成長性をアピールすることで、金融機関や投資家からの評価を高めることができます。
事業計画書は信頼確保のために有効です。事業計画書は、ただ詳細を記載するだけでなく、読み手が容易に理解できる形で具体的な数値や中長期的な経営計画を示す必要があります。特にITベンチャーやスタートアップのようにビジネスモデルが独特の場合、事業内容を丁寧に説明し、初めて見る人でもビジネスの概念を理解できるよう努めることが重要です。
また、企業の信頼性と将来の成長性は、投資家や貸し手にとって重要な判断基準となります。過去の実績だけでなく、競争力や将来のビジョンを明確に伝えることが必要です。適切な情報開示と透明性を保つことで、投資家や金融機関からの信頼を得ることができます。
資金調達を行う際、関連するコストにも注意が必要です。資金調達方法によって発生するコストは異なり、資金の実質的な利用可能額に大きく影響します。例えば、金融機関からの借入れの場合、保証金や融資手数料などの追加費用がかかることがあります。
また、クラウドファンディングを利用する際にも注意が必要です。多くのクラウドファンディングプラットフォームは、資金調達額に応じた手数料を徴収します。この手数料は、集めた資金から差し引かれるため、実際にプロジェクトに利用できる金額が減少します。
資金調達を行う際には、返済が困難にならないよう注意が必要です。特に業績が思うように伸びない場合、借り入れた資金の返済に苦労することがあります。このようなリスクを回避するためには、事前のリスク評価と返済計画の柔軟性が鍵となります。
資金調達の際に株式を発行する方法を選択すると、新たな株式の発行によって既存株主の持ち分が希薄化されるリスクが生じます
希薄化を防ぐための対策としては、株式発行の必要性とその影響を詳細に検討し、新たに発行する株式の数や価格設定が、既存の株主に与える影響を最小限に抑えるように計画することが必要です。
また、ダウンラウンドでベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から第三者割当増資をする場合、既存の株式の希薄化を避けるため、ラチェット条項という、「新しいバリュエーションに応じて持分割合が変化する契約」を結んでいる場合が多いため、事前に契約の内容を確認することが重要になります。
資金調達は企業のキャッシュフローに大きな影響を与える可能性があるため、その影響を慎重に評価することが重要です。特に、借入金や利息の負担が増加すると、将来のキャッシュフローに負担がかかることがあります。この点を考慮して、資金調達の計画と予測を行うことが必要です。
資金調達を検討する際には、返済元本や利息が将来のキャッシュフローに与える影響を予測し、計画的に進めましょう。具体的には、資金調達を計画する際にはキャッシュフローを予測し、返済スケジュールを適切に設計することが望ましいです。
調達した資金を効率的に使うことで、キャッシュフローへの負担が軽減されます。資金の使い道について事前に計画し、収益性が見込める事業の拡大に資金を充てることで、キャッシュフローの改善につながります。資金を適切に活用することで、返済負担の増加を相殺し、企業の財務健全性を維持することが可能です。
会社売却や事業承継など、M&Aに関するお悩みは、ぜひM&A Leadへご相談ください。
M&A Leadが選ばれる3つの特徴をご紹介します。
M&A Leadが選ばれる3つの特徴
①譲渡が実現するまでは完全無料の「完全成功報酬制」
②圧倒的な買い手様ネットワーク
③経験豊富なアドバイザーによる本質的なご支援
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今回の記事では、資金調達の種類、それぞれのメリット・デメリット、融資との違いやおすすめの資金調達方法について解説しました。
資金調達といっても様々な種類があり、それぞれ違った特徴やメリット・デメリットがあります。自社の規模や状況に合った最適な調達方法を取ることが事業の成長拡大には不可欠です。
また、資金調達とM&Aは密接な関係にあります。双方を効果的に使いこなすことでより戦略的に事業を展開できるでしょう。この記事が資金調達やM&Aの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事の監修者M&A・事業承継のご相談はお任せください。 経験豊富なM&Aアドバイザーが、無料でお話をお伺いし、M&Aに捉われず、ご相談いただきました会社・事業オーナー様に最適なご提案させていただきます。 まずはお気軽にお問い合わせください。
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