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公開日:2024年10月31日
更新日:2024年10月31日

有限会社と合同会社・株式会社の違いは?メリット・デメリット・移行手続きを解説

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取引先と名刺交換をした際など、「有限会社〇〇」「合同会社△△」という会社名を目にしたことが、誰しも一度はあるかと思います。

会社法人の名前として一般的で、特に個人経営や小規模な会社に多い形態です。ですが、株式会社との違いをハッキリ意識したことのある方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、有限会社と合同会社の制度上の違いや、ビジネスを展開する上でのメリット・デメリットをお伝えします。

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目次

有限会社とは

有限会社とは、かつて日本で設立が認められていた法人形態で、主に小規模な企業向けの形式として利用されていました。有限会社の社員は、出資者としての義務を負う一方で、会社が抱える債務に対しては有限責任を負い、個人として直接的な責任を負わない仕組みが特徴です。このため、会社の財務的なリスクが出資額に限定されるという利点がありました。

2006年の会社法改正に伴い、有限会社の新規設立は廃止され、それ以降は「特例有限会社」として株式会社の一種として存続しています。特例有限会社は、法的には株式会社と同様の扱いを受けますが、役員の任期や決算の公告義務がないなど、かつての有限会社の特徴を一部引き継いでいます。

現在では、特例有限会社として存続しているもの以外、新たに有限会社を設立することはできませんが、合同会社や株式会社への移行も可能で、商号の変更手続きにより移行が完了します。

合同会社とは

合同会社とは、2006年の会社法改正に伴い、新たに導入された法人形態であり、アメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考に設計されました。

合同会社は出資者と経営者が同一である点が特徴で、設立者は「設立時社員」として会社を立ち上げます。出資者全員が議決権を持ち、経営に直接参加できる一方で、業務執行を担当する「業務執行社員」を選定することも可能です。

さらに、合同会社には役員の任期がなく、決算公告の義務もありません。そのため、役員の変更や決算公告に伴う費用が発生せず、長期間にわたり同じ役員が経営に携わることも可能です。会社の所有と経営が分離されておらず、機関構成に柔軟性があるため、経営者の自由度が高い法人形態と言えます。

株式会社とは

株式会社とは、株式を発行することで資金調達が可能な法人形態の一つです。基本的な考え方として、経営を担う「取締役」と、会社の所有者である「株主」が分離している点が特徴です。しかし、設立時には発起人がそのまま株主となるケースが多く見られます。現在では株券の発行は不要であり、設立の際に広く選ばれる法人形態となっています。

株式会社の設立には、1円以上の資本金が必要ですが、具体的な設立費用としては、登録免許税が15万円、定款認証のための公証人手数料が5万円、定款収入印紙代が4万円の合計約24万円がかかります。また、設立時には「発起人」として定款を作成し、認証を受ける必要があります。

経営の最高意思決定機関は「株主総会」であり、業務執行の役割は「取締役」が担います。役員の任期は、原則として取締役は2年、監査役は4年ですが、定款によって最大10年まで延長することが可能です。

このように、株式会社は法的要件が多く、厳格な組織運営が求められる法人形態です。

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有限会社と合同会社の違い

有限会社と合同会社の違いは、設立ができるかどうか、資本金の最低金額、出資者の人数に制限があるかどうか、取締役の人数の4つです。

有限会社と合同会社の違いとしては以下の4つが挙げられます。

・設立ができるかどうか
・資本金の最低金額
・出資者の人数に制限があるかどうか
・取締役の人数

それぞれ解説します。

設立ができるかどうか

有限会社と合同会社には設立の可否に違いがあります。

有限会社は現在、新たに設立することができません。

200651日に施行された会社法により、「有限会社」という形態は日本から消失しました。その日から新たに有限会社を作る事は出来なくなったのです。そしてそれ以降、「有限会社」は全て株式会社として取り扱われる事になっています。

現在存続する有限会社は、厳密には「特例有限会社」という名称です。法令上は、実は株式会社の一種なのです。

ただし混乱を防ぐため、実態としてはそのまま有限会社の形態を保持しており、名称も有限会社が残っている、という状態です。

以後この記事においても、「特例有限会社」を指すものも通例通り有限会社と呼称します。

有限会社が新たに設立できなくなった理由は、株式会社を設立するハードルが下がり、有限会社と株式会社を区別する必要がなくなったからです。

従来、株式会社は設立時の資本金が最低でも1,000万円以上必要で、取締役も3人以上置かなくてはなりませんでした。それに対し、有限会社設立の資本金の最低額は300万円で、取締役の必要人数は1名以上でした。

しかし、上記会社法施行により株式会社は資本金が1円以上、取締役1名からでも設立できるようになりました。

この変更により有限会社と株式会社を区別する必要性が小さくなったので有限会社は廃止されました。

一方、合同会社は20065月の会社法施行で新しく生まれた会社形態で、現在でも設立が可能です。

資本金の最低金額

有限会社は現在新規に設立ができませんが、廃止されるまでは資本金が最低300万円必要となっていました。

一方、合同会社は資本金1円から設立することが可能です。

出資者の人数に制限があるかどうか

これもかつて有限会社の設立が可能だった時のルールですが、有限会社は出資者が50名までに制限されていました。これは大規模での事業展開を想定する株式会社との差別化を図るための措置として定められていました。有限会社は出資者が50人もいないような、小さな規模の会社を想定した制度だったということです。

一方、合同会社には出資者の数に制限はありません。出資者が1人であっても、50名以上の出資者がいたとしても、問題なく設立することが可能です。

取締役の人数

有限会社と合同会社では、取締役の人数に違いがあります。有限会社(特例有限会社)は、会社法施行前の規定に基づき、最低1名以上の取締役を置くことが義務付けられており、これは特例有限会社でも変わりません。

一方、合同会社では取締役を置く義務がありません。合同会社では、出資者がそのまま経営を担うため、所有と経営が一致しているためです。取締役を設けずとも迅速な意思決定が可能で、シンプルな組織体制での経営が可能です。

有限会社と合同会社の共通点

有限会社と合同会社の共通点は、責任範囲、役員の任期がないこと、決算公告の義務がないことの3つです。

有限会社と合同会社には制度上の共通点が数多く存在します。

この章では、以下の3つの共通点について解説します。

・責任範囲
・役員の任期がない
・決算公告の義務がない

責任範囲

有限会社と合同会社はどちらも出資者の責任範囲が有限という点が共通しています。

会社の経営者は、債権者に対して責任を負います。この責任とは、会社が倒産などにより清算された際、債務が残っている場合に適用されます。

有限責任とは、出資者は自分自身が出資した金額の範囲でのみ責任を負えば良いという考え方です。例えば、出資した金額が1万円であれば、1万円以上の個人の資産などが没収されることはありません。

対して無限責任は、債務の全てに対して弁済の責任がある、文字通り上限が無い状態だということです。

有限会社は読んで字の如く、有限責任の会社です。正しくは『直接有限責任』と言われ、債権者から直接追求を受けることになります。

ドラマや映画で工場が倒産した際に、社長が取引先から詰め寄られているシーンを見たことがある人もいるのではないでしょうか。あれが直接有限責任のイメージです。

対して合同会社は「間接有限責任」です。出資額を限度として責任を負うというのは変わりませんが、代表者でない者(社員など)なら会社に対して履行するのみで、債権者から直接責任を追及されることは基本的にありません。

いずれにしても、有限会社と合同会社はどちらも有限責任のため、倒産した場合でも出資金以上の弁済責任を負う必要はない、と覚えておきましょう。

役員の任期がない

有限会社と合同会社には役員の任期がありません。

株式会社では役員に必ず任期が定められており、任期が到来したら登記をし直す必要があります。当然書類の手続きや、司法書士への依頼・報酬の支払いなどが都度発生します。

しかし、有限会社・合同会社には役員の任期がなく、登記し直しが不要です。役員の登記にかかる手間やコストを低く抑えられるため、経営上のコストを抑えたい方にとってはありがたいポイントといえます。

決算公告の義務がない

有限会社と合同会社には決算公告の義務がない点も共通しています。

決算公告とは、企業の財務情報(決算情報)を公に開示することです。これにより、経営状況を明らかにし、出資者が出資の継続を健全に判断できるようにしています。

株式会社は株式という形で広く出資者を募っているため、決算公告で自社の状況を公に明らかにすることが義務付けられています。

決算公告は、財務情報を明らかにするために数値を取りまとめたり、官報に掲載する必要があるなど、一定の手間・コストがかかる作業となっています。

一方、有限会社・合同会社では決算公告の義務がありません。手間とコストがかからないという点は大きな魅力といえるでしょう。

有限会社と株式会社の違い

有限会社と株式会社の違いは、設立ができるかどうか、資本金の最低金額、出資者の人数に制限があるかどうか、役員に任期があるかどうか、決算公告の義務があるかどうか、株式の譲渡制限があるかどうかの6つです。

有限会社と合同会社の違いとしては以下の6つが挙げられます。

・設立ができるかどうか
・資本金の最低金額
・出資者の人数に制限があるかどうか
・役員に任期があるかどうか
・決算公告の義務があるかどうか
・株式の譲渡制限があるかどうか

それぞれ解説します。

設立ができるかどうか

合同会社と同様に、有限会社と株式会社は設立できるかどうかの違いがあります。前述の通り、有限会社は2006年の会社法施行以降設立できなくなっています。

資本金の最低金額

有限会社の資本金の最低金額は300万円です。

一方で株式会社の資本金の最低金額は、会社法施行前は1000万円、施行後の現在は1円になっています。

出資者の人数に制限があるかどうか

前述の通り、有限会社は出資者の数が50名までに制限されていましたが、株式会社は上場してる会社の株式が広く買われているように、出資者の数に制限はありません。

役員に任期があるかどうか

有限会社と株式会社の違いの一つに、役員の任期の有無があります。有限会社では、役員の任期に関する規定がなく、基本的に取締役や監査役は任期を定めずに就任し続けることが可能です。

一方で、株式会社には役員の任期が定められており、取締役の任期は原則2年、監査役は4年となっています。ただし、定款により取締役や監査役の任期を最長10年まで延長することが可能です。

決算公告の義務があるかどうか

有限会社と株式会社の違いの一つに、決算公告の義務があるかどうかという点があります。

有限会社には、決算公告を行う義務がありません。これは、有限会社が小規模な企業向けの法人形態として設計されており、公告義務による負担を軽減するためです。そのため、有限会社では、毎年の決算内容を外部に公開する必要がなく、手続きの簡素化が図られています。

一方、株式会社には決算公告の義務が課せられています。株式会社は、株主をはじめとする利害関係者に対して経営の透明性を確保する必要があるため、毎年の決算を官報や日刊紙などで公告しなければなりません。この公告には、一定の費用がかかるため、株式会社は有限会社に比べてコスト面での負担が大きくなります。

株式の譲渡制限があるかどうか

株式の譲渡制限があるかどうかも有限会社と株式会社の違いの一つです。

有限会社では、社員(出資者)の持つ持分の譲渡には厳しい制限がかけられています。具体的には、他の社員全員の承認を得なければ持分を譲渡することができません。この仕組みは、有限会社が小規模かつ閉鎖的な経営を前提として設計されているためで、出資者が自由に変わらないようにすることで、経営の安定性を保つ意図があります。

一方、株式会社では、原則として株主は自由に株式を譲渡することができます。ただし、定款で株式譲渡に制限を設けることも可能です。多くの中小企業の株式会社では、株主構成の安定を図るため、譲渡制限を定款に定めているケースが一般的です。しかし、譲渡制限のない公開会社では、株主が株式を自由に売買でき、株式市場での流動性が高いことが特徴となります。

有限会社と株式会社の共通点

合同会社と同様に、有限会社と株式会社は出資者の責任が有限責任という点で共通しています。そのため、会社が抱える債務が出資者の出資額を超えた場合でも、出資者がその債務を個人的に負担する必要はありません。

有限会社のままでいるメリット

有限会社のままでいるメリットは維持管理コストが低いこと、経営の自由度が高いこと、歴史がある会社という印象を持ってもらえることの3点です。

有限会社(『特例有限会社』)のままでいるメリットには以下があげられます。

・維持管理コストが低い
・経営の自由度が高い
・歴史がある会社という印象を持ってもらえる

それぞれについてみていきましょう。

維持管理コストが低い

有限会社は同規模の株式会社に比べ、圧倒的に維持管理のコストを低く抑えることが可能です。

上述の役員の登記や決算公告に加え、株主総会なども不要であるため、これらに関連する事務処理の費用・手間を削減できます。

経営の自由度が高い

有限会社では必要な役員の人数に関しての定めが「取締役1名以上」のみとなっているため、役員数を柔軟に変更できました。また、監査役の設置も義務にはなっておらず、定款自治の範囲も広いといった特徴がありました。

上記から、有限会社は経営状態に応じて柔軟で自由度の高い経営組織が構築できるという点がメリットといえます。

歴史がある会社という印象を持ってもらえる

有限会社の形態を維持することで、一定の歴史を持つ企業であるとの印象を与えられます。

法律上、有限会社として設立された企業は、商号に「有限会社」という言葉を含むことが必要です。この表記は、企業が少なくとも2006年以前から存在していることを示唆しており、その歴史が長いことが、顧客やビジネスパートナーに信頼感を提供する可能性があります。

長い歴史を持つ会社として知られることは、新規の顧客を引き付けるだけでなく、既存の関係者との信頼関係を強化する効果も期待できます。

有限会社のままでいるデメリット

有限会社のままでいるデメリットは認知度・社会的信用度が低いこと、株式による資金調達ができないこと、M&Aできないケースがあることの3点です。

一方、有限会社(特例有限会社)のままでいるメリットには以下があげられます。

・認知度・社会的信用度が低い
・株式による資金調達ができない
M&Aできないケースがある

デメリットについてもそれぞれみていきましょう。

認知度・社会的信用度が低い

有限会社はその性質上、小~中規模の会社が中心です。

現在残っている有限会社も、上記に当てはまる規模の会社が多いでしょう。そのため、「有限会社=規模が小さい会社」という印象が根強く残っています。

資本金の最低額も小さいため、株式会社と比べると取引を検討する企業からの信用も得にくいといえるでしょう。

また、上述した通り、有限会社は決算公告の義務がないため、不都合な内容も含めて経営実態を公開できるほどの自信がない企業である、という捉え方をされる場合もあります。

株式による資金調達ができない

有限会社では、資金調達において株式会社のように株式を発行して広く出資を募る、という方式が取れません。そのため事業がスケールしてきた場合でも、大規模な資金調達が困難になる可能性があります。

M&Aできないケースがある

有限会社のわかりやすいデメリットとして、企業合併できない場合があるという点が存在します。

企業が合併する際には、

・吸収合併する側(存続会社)
・吸収合併される側(消滅会社)

といった選択肢があります。

しかし有限会社はこのうち消滅会社にしかなれず、吸収合併される側にしかなれないのです。

一般的に吸収合併する側(存続会社)の名称やブランドを残す場合が多く、消滅会社は法人格の消滅とともにブランドが失われてしまいます。

どうしても存続会社になりたい場合は、特例有限会社から株式会社か合同会社に移行する必要があるのです。

また、株式移転・株式交換といった組織を再編するための手段も有限会社では不可能です。

組織再編を行いたい場合は、株式会社への移行を検討しましょう。

合同会社のメリット

合同会社のメリットは役員の任期に制限がないこと、決算公告義務がないこと、設立時に定款認証が不要なこと、法人登記の費用が安いことの4点です。

次に合同会社のメリット・デメリットを見ていきましょう。

まずメリットの部分です。

1.役員の任期に制限がない
2.決算公告義務がない
3.設立時に定款認証が不要
4.法人登記の費用が安い

12は有限会社と同様です。合同会社も経営上の手間とコストが削減できる制度となっています。

3は、株式会社と比較した際のメリットです。会社を設立する際、株式会社の場合は作成した定款を公証役場に提出し、内容に問題がないかチェックを受ける「定款認証」という手続きが必須となります。この手続きには時間がかかり、また手数料もかかります。

手数料は3万円~5万円で、資本金の額に応じて変動します。

合同会社では定款の認証は必須ではないため、こちらも手間とコストが削減できる部分となっています。

最後に法人登記にかかる費用が株式会社と比較して安く抑えられるという点です。

会社を設立する際、上述の定款認証の費用の他にも、登録免許税などの費用がかかります。登録免許税は登記や登録等を受ける者に対してかかる税金です。不動産を購入した際などに所有権を「登記」する行為にかかるものです。

会社設立も「法人登記」をするため登録免許税の納税が発生します。この納税額が、株式会社の場合は15万円~、合同会社の場合は6万円~となっており、9万円以上の差がついています。

株式会社よりも合同会社の方が初期費用を抑えて設立が可能となっています。

合同会社のデメリット

合同会社のデメリットは大規模な資金調達が困難なこと、経営の混乱を招くリスクがあること、権利譲渡や事業承継が難しいことの3点です。

一方、合同会社にもデメリットが存在します。主なデメリットとしては以下があげられます。

・大規模な資金調達が困難
・経営の混乱を招くリスクがある
・権利譲渡や事業承継が難しい

それぞれについて解説します。

多額の資金調達が困難

合同会社においても、有限会社同様株式を発行して広く出資を募るという手段が取れないことがデメリットです。

資金調達の方法としては補助金や助成金、借入といった手段が中心になります。

合同会社は社債の発行は可能ですが、負債扱いになります。負債扱いなので、債権者への弁済が発生したり、償還に備えた積み立ても必要になるのです。

上記の理由から、大規模な資金調達が必要となる場合、合同会社では調達が困難になる可能性があります。将来的に事業を拡大していく想定があり、資金調達も視野に入れる場合は株式会社を選択した方がいいでしょう。

経営の混乱を招くリスクがある

合同会社のデメリットとして経営の混乱を招くリスクがある点があげられます。

合同会社では出資比率に関係なく社員全員が平等に発言権や議決権を持ちます。そのため社内で意見が割れて意見が拮抗した場合、結論が出ずに膠着してしまうケースがあり得ます。

万が一このような状況が生じた場合、経営が滞ってしまうことが考えられます。

権利譲渡や事業承継が難しい

権利譲渡や事業承継が難しいという点も合同会社のデメリットです。

株式会社は「株式」によって、会社の経営権を管理しており、それを資産として譲渡・売買することで経営権を他者に譲り渡すことが容易にできます。

しかし合同会社では、「株式」に当たる「持分」を他者に譲渡したい場合、他の社員全員の賛同が必要となります。そのため相続などで権利を引き継ぐことが難しい仕組みとなっています。

合同会社の融通の利きづらさは大きなデメリットといえるでしょう。

株式会社のメリット

株式会社のメリットは資金調達の幅が広いこと、知名度・信頼性が高いことの2点です。

続いて、株式会社のメリットを解説します。株式会社のメリットは、

・資金調達の幅が広い
・知名度・信頼性が高い

以上の2つです。

資金調達の幅が広い

株式会社のメリットの一つは、資金調達の幅が広い点です。

株式会社は、株式を発行することで多くの投資家から資金を集めることができます。特に公開会社では、証券取引所に上場することで一般投資家にも株式を販売でき、大規模な資金調達が可能となります。

また、金融機関からの融資においても、株式会社という法人形態は信用力が高く評価されるため、有利な条件で資金を借り入れやすい傾向があります。

このように、株式会社は資金調達の幅が広く、事業拡大や新たなプロジェクトへの投資がしやすくなります。

知名度・信頼性が高い

株式会社のもう一つのメリットは、知名度や信頼性の高さです。

株式会社は広く認知されており、法人形態としての信頼性が高いため、取引先や顧客に対して安心感を与えることができます。会社名に「株式会社」が含まれることで、ビジネスにおいて信用力を高め、企業のイメージ向上にもつながります。

また、株式会社は規模の大きな企業に多く採用されているため、安定した経営基盤があるという印象を持たれやすく、取引や提携の際に有利になることが多いです。

さらに、株式会社には役員の任期が定められており、定期的に経営体制を見直す機会があります。加えて、決算公告の義務があるため、会社の経営状況が透明化され、外部からの信頼を得やすいことも特徴です。このような仕組みが健全な経営を促進し、取引先や金融機関から信頼を得やすい会社形態であると言えます。

株式会社のデメリット

株式会社のデメリットは役員に任期があること、手続きに手間がかかること、決算公告の義務があることの3点です。

株式会社にもデメリットがあります。株式会社のデメリットは

・役員に任期がある
・手続きに手間がかかる
・決算公告の義務がある

以上の3つです。以下で詳しく解説します。

役員に任期がある

株式会社のデメリットの一つとして、役員に任期がある点が挙げられます。取締役の任期は原則2年、監査役は4年と定められています。非公開会社の場合、任期を最長で10年まで延長することが可能ですが、たとえ任期を延長しても、任期が満了した役員は退任となり、継続して役員を務めるためには再任手続きを行う必要があります。

再任の際には、株主総会を経て役員を選任した後、法務局での登記手続きが必要です。この際、登録免許税を納めなければならず、登記のたびに一定の費用と手間が発生します。

手続きに手間がかかる

設立や運営に関わる手続きに手間がかかる点も株式会社のデメリットです。

まず、株式会社を設立する際には定款を作成し、公証役場での認証を受ける必要があります。これに加え、登録免許税や定款の認証手数料、定款収入印紙代など、初期費用も発生します。

例えば、会社設立時の登記にかかる株式会社の登録免許税は最低でも15万円必要です。合同会社の設立の際の登録免許税は最低6万円なので、株式会社は費用がかかります。

さらに、設立後も株式会社には定期的な手続きが必要です。前述の通り、役員の任期満了後には再任手続きや役員変更に伴う登記が求められ、手続きのたびに手間と費用のコストが発生します。

また、株式会社は後述する決算公告の義務もあるため、毎年の決算内容を公開しなければならず、そのための費用や手間も考慮する必要があります。

決算公告の義務がある

株式会社は、毎年の決算内容を株主や取引先、金融機関などの利害関係者に対して公開する決算公告の義務があります。

具体的には、官報や日刊紙、インターネットなどを利用して決算の概要を公告し、事業・財務状況を明らかにする必要があります。この手続きには公告掲載料などの費用が発生し、特に中小企業にとっては負担となることが少なくありません。

有限会社から別の会社形態への移行手続き

現在存続している『特例有限会社』から、別の会社形態に移行する際、どういった手続きが必要になるでしょうか。

・有限会社合同会社

・有限会社株式会社

上記それぞれの移行パターンをみてみましょう。

有限会社から合同会社への移行手順

有限会社から合同会社への移行手順は、1.(社名を新たに変更する場合)法務局での商号調査2.定款変更3.商号変更による合同会社への移行による特例有限会社解散登記申請4.商号変更による合同会社への移行による合同会社設立登記申請の4ステップです。

まず、有限会社から合同会社に移行するパターンです。

下記の4ステップで移行手続きが可能です。

1.(社名を新たに変更する場合)法務局での商号調査
2.定款変更
3.商号変更による合同会社への移行による特例有限会社解散登記申請
4.商号変更による合同会社への移行による合同会社設立登記申請

合同会社に移行する際、社名を新たに変更するケースも多く存在します。その際、法務局で同じ名称の企業が存在しないか調査を行うのが一般的です。これを商号調査と呼びます。

次に定款変更です。会社を移行するにあたり、事業内容や会社形態の変更に伴い、定款を作り直す必要があります。

その後、有限会社を解散する旨の登記申請と、合同会社を設立する旨の登記申請を法務局で行います。

ここまでが完了すると、無事に合同会社への移行手続きが終了です。

なお、有限会社から移行した後は、有限会社へ戻すことは不可能なので、自社にとってどの会社形態が適切かを十分検討して会社形態は選択しましょう。

また、移行手続きには2か月程度の期間がかかり、移行の効力発生にも手続きを踏む必要があるため、計画を立てて進めることが重要です。

有限会社から株式会社への移行手順

有限会社から株式会社への移行手順は、1.(社名を新たに変更する場合)法務局での商号調査2.定款変更(それに伴う株主総会の開催)3.商号変更による株式会社への移行による特例有限会社解散登記申請4.商号変更による株式会社への移行による株式会社設立登記申請の4ステップです。

続いて有限会社から株式会社への移行パターンの手順です。

大枠は合同会社に移行する際と同じですが、合同会社よりも手続きが増えています。

1.(社名を新たに変更する場合)法務局での商号調査
2.定款変更(それに伴う株主総会の開催)
3.商号変更による株式会社への移行による特例有限会社解散登記申請
4.商号変更による株式会社への移行による株式会社設立登記申請

定款変更の際、株式会社になる場合は株主総会を開いて定款変更の承認を得ることが必要になります。株主総会では特別決議で株主全体の議決権の3/4以上の賛成を得ることで承認となります。

手続きにかかる費用として、解散・設立の登記申請の際の登録免許税が合計6万円以上かかります。

こうした手続きにまつわる時間的・金銭的コストが合同会社の場合よりも多くかかる点は注意しておきましょう。

また、有限会社から移行した後は、有限会社へ戻すことは不可能なので、自社にとってどの会社形態が適切かを十分検討して会社形態を選択しましょう。

また、移行手続きには2か月程度の期間がかかり、移行の効力発生にも手続きを踏む必要があるため、計画を立てて進めることが重要です。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では有限会社と合同会社の違い、それぞれのメリットやデメリット、有限会社からの移行手続きについて解説してきました。

有限会社・合同会社は小規模な経営に有利な会社形態です。

しかし社会的信用度が株式会社に比べて低いなど、会社経営におけるデメリットも明確に存在します。これから起業したい方は、自社の目指す将来や事業規模によって、会社形態を選ぶことをオススメします。

また現在、有限会社や合同会社を経営されている方は、有限会社・合同会社で居続けることがベストなのか、株式会社に移行した方がメリットが大きいのかを検討して会社形態を選択するといいでしょう。

この記事がお役に立てば幸いです。

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