ビジネスの世界で頻繁に使用される言葉に「シナジー」があります。
これは、個別の要素が組み合わさることで、それぞれが単独で発揮する以上の効果を生み出す現象を指します。
特に、企業間の合併や買収(M&A)においては、シナジー効果が大きな成功要因となります。
この記事では、シナジーの基本的な意味とビジネスにおける重要性、具体的な効果を生み出す方法、そして実際のM&A事例を通じてシナジー効果を詳しく解説します。
ビジネスにおけるシナジーの理解を深め、効果的に活用するための知識を身につけましょう。
この記事の監修者シナジーとは、複数の要素が相互に作用することで、単独では得られない効果を生み出す現象を指します。
この言葉はギリシャ語の「synergos(協力する)」に由来します。
ビジネスの文脈では、企業間の協力や統合によって生まれる相乗効果を意味します。シナジー効果は、経営戦略やM&Aにおいて特に重要な概念とされており、これにより企業は競争力の強化が可能になるのです。
一方で、シナジー効果とは逆に、アナジー効果という対極概念も存在します。「マイナス相乗効果」、「負のシナジー」などと表現されます。
アナジー効果は、企業の統合や協力によって期待された効果が得られないどころか、逆に悪影響を及ぼす現象を指します。
例えば、企業文化の違いや組織間の対立が原因で、効率が低下し、コストが増大するケースがあります。
相乗効果は必ずしも良い面だけではない、という点に注意が必要です。
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シナジーには大きく分けて次の4種類があります。
・販売シナジー
・生産シナジー
・投資シナジー
・経営シナジー
それぞれについて、以下で解説します。
販売シナジーとは、企業が統合することによって、販売活動やマーケティング活動の効率を高める効果です。
例えば、異なる商品ラインナップを持つ企業が合併することで、顧客基盤を共有し、クロスセリングやアップセリングの機会を増やすことができます。これにより、双方の商品に対して売上の増加が期待できます。
また統合後のブランド力が強化されることで、新たな市場への参入が可能になっていくこともあります。
シナジー効果の中で、一番短期的にメリットが見込める効果と言えるでしょう。
生産シナジーは、企業が統合することで生産効率を向上させ、コスト削減や品質向上を実現するといった効果を指します。
生産設備の共有や最適化、スケールメリットを活用することで、製造コストの低減が可能です。
また、共同利用により、単独の場合よりも仕入れ量を増やせます。大量に仕入れることで、卸業者との価格交渉力も向上が期待できます。
投資シナジーとは、研究開発などのノウハウを共有することで生まれる効果のことです。
新製品の開発には、通常莫大な時間的・金銭的コストがかかります。しかし協働して行うことで、単独で行う場合と比べ、コストの大幅な削減が可能になります。
またそれぞれが持つ技術力・ノウハウが結集することで、より優れたものを生み出すこともできるでしょう。
大企業がベンチャー企業を買収するなど、長い目で見て将来的に発生が見込まれる投資シナジーを期待し、それを要因としてM&Aを実施するケースもあります。
経営シナジーは、企業の経営資源や経営ノウハウを統合することで、全体の経営能力に向上がもたらされる効果です。
経営層やマネジメントチームの融合によって、意思決定の質が向上し、従来よりも迅速かつ効果的な戦略実行が可能となります。
また、統合後の組織文化や価値観の共有により、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上し、企業全体の人的パフォーマンスの向上が期待できます。
ビジネスにおけるシナジーの具体的な効果としては、以下のような例が挙げられます。
複数の企業が統合することで、重複する部門や業務を削減し、コスト効率を向上させることができます。
例えば、同じ地域で活動する企業同士が合併することで、物流や仕入れのコストを大幅に削減できます。
販路を拡大することも期待できます。
異なる市場や顧客基盤を持つ企業が統合することで、互いの強みを活かし、新たな市場への進出や既存市場でのシェア拡大が可能です。
例えば、地域的に異なる顧客層を持つ企業が合併することで、全国的な販売網を構築し、売上の増加を図るといったことも考えられます。
企業経営において、何事であれスピードアップは大切な要素です。
シナジー効果は、時間の短縮にも寄与します。企業が持つ技術やノウハウを共有することで、新製品やサービスの開発期間を短縮することが可能です。
例えば研究開発部門の統合により、プロジェクトの進行が早まり、その結果早期に市場投入することができます。
また、管理業務の効率化により、意思決定のスピードも向上します。
協働することによって、互いのノウハウやナレッジを共有し、組織全体の知識レベルを向上させることができます。
異なる業界や分野で培った技術や経験が融合できれば、イノベーションを促進し、競争力を強化するといったことも可能になります。
例えば新規市場に進出する際、既存事業で培った市場知識や販売戦略を活用することでリスクを低減し、成功率を高めることができます。
シナジー効果を生み出すためには、企業が戦略的に連携することが重要です。
以下では、シナジーを生み出す具体的な方法について説明します。
業務提携は、特定のプロジェクトや事業分野で協力し合うことでシナジーを生み出す方法です。
業務提携により、各企業の強みを活かして協力し、コスト削減や技術革新を実現します。
例えば、技術力の高い企業と営業力のある企業が提携することで、製品開発と市場投入のスピードを加速させることができます。
業務提携は比較的低リスクで簡便に実施できるため、多くの企業が実践しています。
M&A(企業の合併・買収)は、シナジーを生み出す代表的な方法です。
M&Aにより、買収会社は被買収会社の経営資源や市場シェアを取り込み、スムーズに事業拡大が可能となります。M&Aの成否は、統合後の組織運営や文化の融合にかかっています。
例えば、大企業がベンチャー企業を買収することで、革新的な技術や製品を自社に取り込み、競争力を強化することができます。
多角化戦略は、既存の事業領域を超えて、新たな事業分野に進出することでシナジーを生み出す方法です。
多角化により、企業はリスク分散を図りながら、収益源を増やすことができます。
例えば、従来までは製造業を主としてきた企業がサービス業に進出することで、製品とサービスを組み合わせた新しいビジネスモデルを構築する、といったことが期待できます。
多角化戦略を成功させるには、新規事業に対する綿密な市場調査と計画が不可欠です。
グループ一体経営は、企業グループ全体で総合的な経営効率を高める方法です。
共通する業務の一本化などによってコストを削減する、共通の目標に向かって切磋琢磨することで全体の競争力を強化する、といった形式です。
同業種の事業を集約させることでノウハウの最適化を図るといったケースも期待できます。
グループ一体経営は、資源の最適配分とシナジー効果の最大化を図る、非常に有効な手段と言えます。
M&A(企業の合併・買収)は、シナジー効果を生み出し、企業の競争力を大幅に向上させる手段として広く利用されています。
ここでは、M&Aを通じてシナジーが生まれた世界的な代表例をいくつか紹介します。
2006年にウォルト・ディズニー・カンパニーがピクサー・アニメーション・スタジオを買収した事例は、シナジー効果の成功例としてよく知られています。
ディズニーはピクサーの優れたアニメーション技術とクリエイティブな才能を取り込み、両社の強みを融合させました。
この買収により、ディズニーはヒット映画を次々と生み出し、ブランド価値を高めることに成功しました。
また、ディズニーのマーケティング力とピクサーの制作力が相乗効果を発揮し、世界的な興行収益を上げることができました。
2012年にFacebook(現Meta)がInstagramを買収した事例も、シナジー効果の成功例です。
Facebookは、急成長するソーシャルメディア市場での競争力を強化するために、Instagramの革新的な画像共有プラットフォームを取り込みました。
この買収により、Facebookは若年層のユーザーを獲得し、広告事業の大幅な増収増益を実現しました。また、技術的なインフラとデータ解析能力を共有することで、両社のサービス向上と市場シェア拡大に成功しました。
2017年にAmazon社がホールフーズを買収した事例も、シナジー効果の成功を示すものです。
Amazonはオンラインを拠点とした小売事業の巨人であり、対してホールフーズは高品質な生鮮食品の小売事業者としての強みを持っています。
この買収により、Amazonは実店舗のネットワークを獲得し、オムニチャネル戦略を強化しました。
また、ホールフーズの店舗を配送拠点として活用することでAmazonの物流効率も向上し、顧客サービスの総合的な改善にもつながりました。
M&Aはシナジー効果を期待して行われることが多いですが、必ずしも成功するとは限りません。
アナジー効果となってしまうケースもあります。
ここでは、見込んでいたシナジーが生まれなかったM&Aの失敗事例を紹介し、失敗の原因とその教訓について考察します。
1998年に行われたドイツのダイムラー・ベンツとアメリカのクライスラーの合併は、「世紀の合併」と呼ばれ、大きなシナジー効果が期待されました。しかし、合併後の実情は期待とはかけ離れたものでした。
失敗の要因は主に下記の点があげられます。
合併後、クライスラーの北米での販売不振も解消せず、2007年5月にダイムラー・クライスラーはクライスラー部門をアメリカの投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントへ売却することになります。
これにより「世紀の合併」と呼ばれた経営統合は9年で白紙、同年10月には社名をダイムラーに戻しました。
一方、クライスラーはリーマン・ショックの影響で2009年に経営破綻し、その後イタリアのフィアット社の傘下に入りました。2014年にはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)として経営統合しています。
2013年にMicrosoftがノキアの携帯電話事業を買収した事例も、シナジー効果を期待したものの、成功に至らなかったケースです。
Microsoftは、ノキアのハードウェア技術と自社のソフトウェアを組み合わせることでスマートフォン市場での地位を確立しようとしましたが、結果は失敗に終わりました。
失敗の要因としては下記があげられます。
Microsoftはノキアとの合併によって自社製スマートフォン「Windows Phone」を華々しくデビューさせる算段でしたが、GoogleのAndroid・AppleのiOSに追いつけず、あえなく市場から消えてしまいました。
2000年に行われたAOLとタイム・ワーナーの合併もまた、シナジー効果が期待されたものの、失敗に終わった事例です。
この合併は、インターネットとマスメディアのシナジーを追求し、両社の強みを活かすことを目指しましたが、実現には至りませんでした。
失敗の要因としては主に下記があげられます。
2002年の決算では、アメリカの産業史上最大といわれる約1000億ドルの最終赤字を計上するなど、「今世紀最悪の合併」とまで評される結果となってしまいました。
会社売却や事業承継など、M&Aに関するお悩みは、ぜひM&A Leadへご相談ください。
M&A Leadが選ばれる3つの特徴をご紹介します。
M&A Leadが選ばれる3つの特徴
①譲渡が実現するまでは完全無料の「完全成功報酬制」
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シナジーとは、複数の要素が相互に作用することで、単独では得られない効果を生み出す現象です。
ビジネスの世界では、特にM&Aにおいてシナジー効果が期待され、企業の競争力強化や成長促進の鍵となります。
世界的な大企業で成功している事例がある一方、期待していた効果が得られなかった失敗事例もあり、期待しても適切に実現できない場合があることがわかります。
シナジーを成功させるためには、企業文化の統合、戦略の一致、綿密な計画、そして統合後の適切なマネジメントが不可欠です。
これらのポイントを押さえてシナジー効果を最大限に引き出すことで、企業は競争力を強化し、持続的な成長を実現することができます。
シナジー効果を理解し、適切に活用することで、ビジネスの成功に向けた道筋が見えてくるはずです。
自社に最適なシナジー戦略を見つけていきましょう。
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